【ニューヨーク州ブルックリン19日(日本時間20日)発】WWEの真夏の祭典「サマースラム」が開催され“黒いロックスター”ことUS王者の中邑真輔(38)はジェフ・ハーディー(40)を下し、王座防衛に成功した。ただし遺恨が続く“毒蛇”ランディ・オートン(38)との本格抗争は避けられない状況となった。

 静かな立ち上がりだった。中邑が王座奪取した一戦(7月15日)は、急所打ちから電光石火のキンシャサ・ニー・ストライク(ボマイェ)で、6秒で決着しており、ジェフが立ち上がりを警戒したからだ。中邑は不敵な笑みを浮かべ「カモーン!」と得意のポーズで挑発。しかし同じポーズを返されると余裕は消え、一気に試合が動き始めた。

 中邑が場外でのヒザ蹴りでペースを握りかけると、ジェフは股間へのレッグドロップでこれまでの恨みを晴らす。必殺のキンシャサ弾は前蹴りで、急所打ちは巧みなダッキングでかわされた。お互いの攻撃は体が熟知していた。

 直後にジェフのスワントーンボムが決まるが、勝負に出たエプロンへの2発目は読んでいた。すぐさまリングに戻ると、たぎりにたぎってのキンシャサ弾一閃。最後は意外なほどアッサリした結末でベルトを守った。

 試合直後には、やはりオートンが登場。中邑は危険を悟ってリングを下りた。しかし毒蛇は大の字になったジェフを確認しただけで黙って控室へ。場内には困惑のムードが漂う。大会後のインタビューで真意を聞かれたオートンは「俺は自分の意思のまま動くだけだ」と語るのみだった。

 いずれにせよ中邑は、これでジェフとの遺恨に終止符を打ったのは確か。一方でオートンの言動には、一連の襲撃でジェフを認めたとのニュアンスも感じ取れた。今後は中邑に照準を合わせることは間違いなく、ジェフとの共闘もあり得る状況。21日(日本時間22日)のスマックダウン大会が最初のアクションの場となりそうだ。快勝で終わったはずの黒いロックスターにとって、真夏の祭典は危険な防衛ロードのスタートになってしまった。