女子プロレス「スターダム」のワンダー・オブ・スターダム選手権(10日、東京・新木場1stRING)は、王者の紫雷イオ(27)が米ROHの強豪ケリー・クレイン(26)を退け、2度目の防衛に成功した。

 まさに“イオ劇場”だった。挑戦者の要望により「時間無制限1本勝負」「場外カウントなし」の完全決着ルールに変更されるも、これを見事に逆手に取った。ハイライトは開始わずか3分だ。会場の外に連れ出されると、売店用のテーブルを投げつけて反撃。その直後に団体の社用車として使用されているグランドハイエース(トヨタ)の屋根に上り観衆をあおると、地上2メートルの車上から危険極まりないケブラーダを成功させたのだ。

 これで勢いづいた王者は挑戦者のパワー殺法に耐え抜いて、最後は月面水爆弾で勝利。「私のベルトを守る意識のほうが強かったということ」と胸を張った。試合後には同門のHZK(20)に挑戦を表明され、24日後楽園ホール大会で迎え撃つことが決定的になった。

 赤いベルト(ワールド王座)のイメージが強かったイオは、白いベルトに新たな価値観を生み出そうとしている。そのため「V10以上はすると約束するのでベルトを新調してほしい。今のベルトはデカくて腰に巻けないので」との要望も忘れなかった。ロッシー小川社長(60)は愛車でもあるハイエースの傷を入念に確認しながら「その考えはありますよ。まあ早まるのも遅くなるのもイオ次第でしょう…」と胸の奥でソロバンをはじきながら約束した。

「白いベルトを紫雷イオの色に染めるのでワクワクしてください!」と笑顔で締めくくった“天空の逸女”。まだまだ果敢な挑戦は続く。