女子プロレス「スターダム」のワールド・オブ・スターダム王者、紫雷イオ(26)が20日、新世代のホープ・木村花(19)に過酷な指令を下した。スターダム版春の祭典「シンデレラ・トーナメント」(30日、後楽園ホール)1回戦で激突することが決まり、それまでに主要王座の一つであるワンダー・オブ・スターダム王座奪取を厳命したのだ。果たしてイオの狙いとは――。

 今年で3回目の開催となるワンデートーナメントには16選手が参加。1回戦8試合の中でも最大の注目カードが、イオVS花だ。イオは東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞の女子プロレス大賞を2年連続受賞中で、女子プロ界のトップに立つ。

 一方、引退した木村響子(40)の娘である花はデビュー1年1か月の新人ながら、卓越したプロレスセンスを備え、ビジュアル的にも将来性を高く評価されている逸材だ。イオも「面白い獲物。腹が立つ小娘だけど、スターダムに上がるだけの価値がある選手」と、業界をけん引する“後継者”になり得る存在と認めている。

 だからこそ、あえて対決までに厳しいハードルを課した。22日の山口・光大会で、花は宝城カイリ(28)が持つワンダー王座への挑戦が決まっている。そこで「いつもならどっちが勝つとか興味ないけど、今回だけはあの小娘を応援する。ベルトを取ってこい!」とエールを送ったのだ。

 もちろん、したたかな計算があっての援護射撃だ。「木村花はウチ以外の女子団体だけじゃなく、男子団体にも出てる。つまりスターダムファン以外にも響く存在。赤いベルトの紫雷イオと白いベルトの小娘が1回戦で激突すれば、その波及効果は計り知れない」

 イオなりに業界全体を考えた上での言葉だったが、これが響かなかったのか、花は最近の若者らしく「昨春デビューしたばかりなんで、このトーナメント、よく分からないけど~(優勝者に贈与される)ドレスはしっかり着こなして、皆さんにお見せしま~す」と挑発的な態度。

 さすがのイオも激怒して「そのそそり立った鼻をブチ折ってやる!」と殺気すら漂わせ、初制覇に向けて気持ちを引き締めていた。