女子プロレス「スターダム」のワールド王者・林下詩美(23)が、まさかの〝暴君宣言〟だ。団体初進出となった9日の大阪城ホール大会ではマーベラスのエース・彩羽匠(28)を退け、V7を達成。目標とする最多防衛記録「14」の折り返し点に到達した。今後は父の〝ビッグダディ〟こと林下清志さんから受けた叱責を胸に、試練の防衛ロードをばく進する。


 団体の看板を背負った彩羽とのエース対決をハイジャックボムで制した詩美に「休息」の2文字はない。復帰した葉月からの挑戦表明を受諾し、11月3日の神奈川・川崎市とどろきアリーナ大会でのV8戦が決定。さらに勝者が、同27日の東京・国立代々木競技場第二体育館大会で舞華の挑戦を受けることになった。

 すでに12月29日の東京・両国国技館大会で現在は朱里が持つワールド王座挑戦権利証保持者とのタイトル戦も決まっており、順調に防衛を重ねれば年内はタイトル戦3試合を行うことになる。

 過酷な防衛ロードを前に詩美は「今まで言いたいことも王者だからって我慢してきたけど、これからは全部言わせてもらう。今までより偉そうに、わがままにさせてもらう」と高らかに宣言した。

 その兆候は試合前から表れていた。彩羽戦から入場曲を変更したが、これまでより風格を感じさせる荘厳な雰囲気の曲になった。「私からリクエストして変えました。より王者らしさを感じさせる曲にしてほしいってお願いして。完成して上がってきた曲も、何回か突き返して直しましたよ。わがまま言って」と明かす。

 きっかけは父だ。9月25日のシングルリーグ戦「5★STAR GP」最終戦(大田区)でワンダー王者・中野たむに敗れて優勝決定戦進出を逃したことを、観戦に訪れた清志さんは「油断があるんじゃないか?」と激怒したという。そこで詩美は「最近はずっと褒められていたんですが、相当怒られてしまって。ネジを巻かれた感じです。もともと私は感情が出にくいのが短所って言われるんで、だったら感情を出してわがままに偉そうにさせてもらうことにしました」と説明した。

 これでV7を達成。目標とする紫雷イオ(現WWE)が持つ同王座の最多防衛記録「14」の半分に到達した。「イオさんに少しでも近づきたい。その意味でもその数字は目指します。まずは年内に3回防衛して2ケタ到達! そうすれば14も見えてきます」。年末に向け、このまま突っ走る。