伝説を超えられるか。女子プロレス「スターダム」のワンダー王者・ジュリア(26)が、マット界に吹き荒れるベテラン旋風に危機感を募らせている。その流れにあらがうためにも、団体の10周年記念大会(3月3日、東京・日本武道館)メインでは、中野たむとの敗者髪切りマッチで「歴史」「ライバル」という2つの難敵を打ち破る。

 中野との髪切りマッチはワンダー王座戦として行われることが正式決定。女の命と虎の子のベルトをかけることになったジュリアは「全てを失うリスクがある方が、やりがいになるんだよ」とふてぶてしく話した。

 女子プロレス界と髪切りマッチは切っても切れない関係で、これまで数多くの“話題作”が生まれてきた。中でも社会現象にまでなったのが、1985年8月28日の全日本女子プロレス大阪城ホール大会で行われた長与千種対ダンプ松本戦だ。敗れた長与が号泣しながら髪を切られるシーンは日本中に衝撃を与えた。

 当然、過去の名勝負と比べられることになるが、ジュリアは「過去と戦ってそれを超えない限り未来はない。だからぶち破らなきゃいけないと思う。私とたむでは当時と状況は全く違うけど、この令和の新しい髪切りマッチで過去を超えるインパクトを残したい」と語気を強める。

 歴史との戦いを強く意識したのは12日だ。ノア日本武道館大会の観客席で、58歳の武藤敬司がGHCヘビー級王座を戴冠した瞬間を目にした。「時代をつくってきた人で改めてオーラがすごいと思った。出てくるだけで『見に来てよかった』と思った。試合後も『いいものを見た』って思ったしね」

 一方で緊迫した空気を感じたのも事実だった。「武藤さんだけじゃなくて、今どこもベテランの方々がすごいじゃん。それって、うちらの世代は本当に危機感を持たないといけないと思うんだよね。確かに時代は進んでる。でも、時代って簡単に戻るから」と警鐘を鳴らした。

 時代の逆行を止め、髪の毛もベルトも守る。令和きってのお騒がせ女は、覚悟を決めて大一番に臨む。