【スターダム】新女王・18歳渡辺桃 成長の裏にイオの“英才教育”

2018年05月24日 16時30分

勝ち名乗りを受ける渡辺の前でイオ(手前)は大の字に倒れた

 これで世代は交代するのか。女子プロレス「スターダム」のワンダー・オブ・スターダム選手権(23日、東京・後楽園ホール)は、王者の紫雷イオ(28)が挑戦者の渡辺桃(18)に敗れ、王座からまさかの陥落。前人未到の「V11」達成に失敗した。3年連続で夏を迎える前にベルトを失った格好だが、皮肉なことにニューヒロイン誕生を導いたのは、イオの“英才教育”だった。

 衝撃の光景だった。試合終了を告げるゴングが鳴らされると、静かに勝ち名乗りを受けた渡辺とは対照的に、イオは大の字で現実を受け止めた。「すんなりとはこの結果を認めたくないけど…私の覚悟より桃の決意が上回った結果だと思う」

 5日の新木場大会で最多防衛記録となる「V10」を達成したイオにとって、記録更新となる「V11」がかかる一戦だった。相手は「シンデレラ・トーナメント」覇者で、自身率いるユニット「クイーンズ・クエスト(QQ)」の後輩。V6戦(2月18日後楽園)で一度は退けた相手とあって、序盤から容赦しなかった。だが必殺の月面水爆を決められず、逆にテキーラサンライズ(変型猛虎原爆)で追い込まれた。最後はリストクラッチ式の変型テキーラ弾に沈んだ。

 渡辺は2016年11月にQQに加入。だがイオは「まだ高校生で進路に選択の余地を残していた。完全にこの業界に染まるか分からなかったから」という考えから、あえて厳しい言葉をかけることをしなかった。

 指導方針が変わったのは今年3月に高校を卒業した直後。マイペースの渡辺に「時間がない。いざチャンスを手にした時じゃ間に合わない。今から焦りなさい」と態度を急変させて説教したという。

 自身にも苦い経験があった。団体を旗揚げからけん引した愛川ゆず季(35)が引退した13年4月、イオはワールド王座を戴冠して団体のトップに立った。だが準備不足から「突然、暗闇に放り込まれたようだった」。同じ思いをさせないためにも、トップに立つ心構えをあらかじめ説いたのだ。

 しかし、これほど早くその時が訪れようとは、イオも想像できなかったに違いない。業界の大エースからバトンを受け取り「私の時代が始まりました」と口にした渡辺は新時代を築けるのか。スターダムの今後が注目される。