【センダイガールズ】里村が激白 東北とともに歩んだ無我夢中の10年と「ゼロからの復興」

2021年03月12日 11時30分

里村(上)はSTFでチサコを締め上げた

 女子プロレス界の横綱こと里村明衣子(41)率いる「センダイガールズ」が東日本大震災から10年目の11日、東京・新宿フェイスで興行を開催した。現在、WWEのNXT・UKで活躍する里村は約5か月ぶりにホームのリングを踏み、万感の表情。震災から5か月後の2011年8月に社長に就任し、歩んできた道は、団体の本拠地とともに歩んだ「ゼロからの復興」だった。

 英国を主戦場とする里村は「3月11日だけはどうしても日本にいたかった」との理由で緊急帰国。試合前に1分間の黙とうをささげると、メインではDASH・チサコ(32)とのシングル戦に臨み、入魂のデスバレーボムで勝利した。

 震災から10年。まさに団体もゼロからのスタートだった。2011年8月に団体創設者の新崎人生から会社を独立して社長に就任。旧事務所は被災したため、仙台市内に家賃3万円の6畳一間のアパートを借り、パソコンとプリンターを設置しただけの部屋で再出発した。“邪道”大仁田厚が1989年に「全財産5万円」でFMWを設立した逸話を超える壮絶さだ。

「スタッフもいない。経営のノウハウは全く分からない。会場の押さえ方、切符の売り方、選手へのオファー…何も分からなかった。トラックの運転も自分でしていた。経費削減のため、全部自分でやるしかなかった。無我夢中で考える余裕はなかったんです」

 震災の年に東京と大阪で試合を行い、営業のため新潟まで自分でリングトラックを運転した。疲労は極限を超えて高速道路を走行中、そのまま眠りそうになり後続車のクラクションで目が覚めた。気がつけば時速40キロで走行していたという。

「私、このまま続けてたら死んじゃうなと気がつき、少しずつ人に仕事を任せるようになった。チサコと2人だけの時もありましたが、震災の2年後からは選手をスカウトする余裕もできた。あの時、団体を終わらせないで本当によかった」と振り返る。

 現在はワールド2冠王の“怪物”橋本千紘(28)とチサコに団体を任せる。「亡くなった方のことを思えば、本当の意味での復興は一生ないのかもしれない。でも同じ経験をした方々と苦しみを分かち合いながら前進を続けたい」。東北に完全復興の日が訪れるまで戦いは続く。 

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