ノアのGHCヘビー級王者・中嶋勝彦(29)が18日、被災地復興大会でのタイトル戦開催を希望した。

 6月4日の後楽園ホール大会でモハメド・ヨネ(41)を相手に5度目の防衛戦に臨む中嶋は「ひと言でいえば強い相手。相手には経験値や背負っているものがある。ただ、俺はこの壁を越えないと、先につながらないから」と静かに決意を語った。

 かねて胸の内に秘めてきた願いがある。東北でのタイトル戦開催だ。くしくも6月25日に「福島復興応援大会」としてビッグパレットふくしま(郡山市)で大会が決まっている。「東北の人のために何かしらできれば。今の俺にできるのはタイトルマッチだと思う」と防衛戦を行いたい考えを持っているのだ。

 東日本大震災が発生した2011年3月11日は、23歳の誕生日だった。その約2か月後の5月5日には健介オフィスが、ビッグパレットで被災者を元気づけるために試合を行っている。当時の同施設は避難所として使用されており、多くの被災者がいた。

「元気づけようと思って行ったけど、逆に元気づけられた。当たり前の生活ができない人たちが、笑顔でプロレスを楽しんでくれたんです。あれから6年がたって、まだ復興途中なのに震災が風化しつつある。だから、ここでタイトル戦をやるのは俺にとって運命なのかもしれない」

 東北地方でのGHCヘビー級戦は第2代王者の秋山準(47)が01年9月5日に盛岡で行っているが、実現すれば福島開催は初となる。「まずは23日です。挑戦者には(3、4日の)後楽園で2度も屈辱を味わっているので、チャンピオンの中嶋勝彦を分からせる。ここで流れをつかんで、6月4日につなげたい」

 23日後楽園大会の前哨戦(中嶋、原田大輔組VSヨネ、小峠篤司組)を制してからV5へ。中嶋は東北への防衛ロードを実現させるつもりだ。