ノアの潮崎豪(35)が8日、都内で“鉄人特訓”を行った。3月12日の横浜文化体育館大会でGHCヘビー級王者の中嶋勝彦(28)からベルトを奪取するため、K―1ヘビー級日本人最強の上原誠(32)を相手に過酷なキック対策に挑戦。その重い蹴りをがっちりと受け止めた潮崎は“鉄人ボディー”とともに、中嶋撃破の秘技開発のヒントもゲットした。

 大一番に向けて「中嶋選手といえばやはり、蹴り。自分としてはその蹴りをかわしたりするのでなく、受け止めた上で、はね返して勝つつもり」と語り、師匠の小橋建太(49)がかつて行ったような“伝説の特訓”再現を予告していた潮崎が、ついに動いた。場所は東京・板橋区の「士魂村上塾」だ。悲壮な決意をにじませながら現れた潮崎を、村上竜司塾長(53)と上原が出迎えた。

 あいさつを済ませると、すぐに特訓が始まった。まずはプロテクターを装着し、上原が強烈な蹴りを発射。プロテクター越しとはいえ、ヘビー級の重い蹴りを20発も胸でまともに受けたが、顔をゆがめつつ潮崎は一歩も引かずに踏ん張った。

 続けてプロテクターを外して厚い胸板に直接10発、ローキックも交ぜながら受け続けた。潮崎の真剣な表情に、かつて故アンディ・フグらと熱戦を繰り広げた村上塾長も動きを見せる。ガードの方法はもちろん、そこから蹴りを捕獲して、逆に相手の足を破壊するタイミングや構えを伝授した。

 潮崎はその教えを吸収したばかりか、そこにチョップやラリアートなどを加えたアレンジ技を上原に試し打ちし「これは、まさに“足殺し”ですね…」とうなずいた。

 仕上げは上原と、キックイベント「Krush・73」(18日、東京・後楽園ホール)でのタイトルマッチを控えたモハン・ドラゴン(39=ネパール)が2人がかりで蹴りを乱射。立ち技トップファイター2人の蹴りが肉体に食い込んだものの、見事に耐え切った。

 過酷な特訓をクリアした潮崎に対して、上原は「中嶋選手には悪いですが、ボク、蹴りのほうが強力なので。それをこれだけ受けきった潮崎選手はもう中嶋選手の蹴りを100発受けてもビクともしないですよ」とその“鉄人”ぶりに太鼓判を押した。

 胸板を赤くさせた潮崎は「上原選手からこんな心強い言葉をもらったので自信になる」と笑顔を浮かべた。さらに「攻撃のヒントや受け方も学べた。収穫が多かった」と手応えを口に。あとは師匠から継承した“鉄人特訓”の成果をタイトルマッチで王者・中嶋にぶつけるだけだ。