ノアのGHCタッグ王者・丸藤正道(36)、矢野通(38=新日本プロレス)組に20日、亀裂が生じ始めた。丸藤が新日本のIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)に挑戦することが決まったことで、オカダと同じユニット「CHAOS」所属の矢野が微妙な立場に立たされたからだ。23日の後楽園ホール大会で2人はV4戦を控えているが、越境タッグは不透明な状況に陥っている。

 丸藤、矢野組は23日にモハメド・ヨネ(40)、クワイエット・ストーム(32)組の挑戦を受ける。一連の前哨戦で苦しめられた相手で、シングルでは矢野がストームとヨネに2連敗を喫した。この現状にさすがの丸藤も「俺たちは組んだ時に化学反応が起こればいいから。矢野さん一人の実力は…知らない」と弁明するしかなかった。

 それ以上に厄介な問題がある。丸藤が新日本10月10日の両国国技館大会でIWGP王者オカダへの挑戦が決まり、25日の新日本神戸大会と、10月8日のノア後楽園大会で前哨戦が組まれた。いずれもパートナーに矢野が入ったが、言うまでもなくオカダと矢野は同門。とんだ“ねじれ現象”の発生に丸藤は「まだ何もしてないのに空中分解する理由はないけど…分からないな。この先、何かが起きてしまうのかもしれないし…」と一抹の不安を隠せないでいる。

 一方の矢野はというと「ボクはノア側でもCHAOS側でもない。試合はやるけど、そこは周りが頑張ってくれ。複雑な立場のようで、実は一番何もやらなくていいかな」と“らしい”返答。ただし「一つ言えるのは、負けるわけにいかない。なぜなら話がややこしくなるからだ」とあくまでも勝利を追求する姿勢は崩さない。

 確かに矢野が負けることになれば、疑惑が深まるのは事実。先手を打つかのように矢野は「2人のIWGP戦も見ない。ボクの知ったこっちゃない。だから、あまり微妙な目でボクを見ないでくれ!」と訴えた。

 この日の埼玉・所沢大会では6人タッグ戦でヨネ組と前哨対決したが、連係攻撃は一度しか成功せずに敗戦。「矢野さんはすべてカネのためだから裏切れないハズ。だって(東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞)最優秀タッグの賞金がかかっているから」と自分に言い聞かせた丸藤だが、疑心暗鬼のまま23日を迎えることになった。