【ノア】潮崎GHCヘビー初防衛 完全復活の裏に三沢さんの形見

2016年06月13日 16時00分

三沢さんの遺影の前でベンジャミンを吹き飛ばす潮崎

 ノアのGHCヘビー級選手権が12日、東京・後楽園ホールで行われ、王者の潮崎豪(34)がシェルトン・X・ベンジャミン(40)の挑戦を退けて初防衛に成功した。故三沢光晴さん(享年46)の追悼大会でかつての師匠に勝利をささげ、ノアマットへの復帰を報告した潮﨑。一時の低迷から完全復活を遂げた裏には、三沢さんが残した“形見”の存在があったという。

 

 規格外のパワーを誇る挑戦者にてこずり、試合中に何度も記憶が飛んだ。それでも右こぶしを握りしめ、自分を奮い立たせた。24分過ぎにはまるで導かれるように、三沢さんの遺影が飾られた方向へノータッチプランチャを成功させた。ここから三沢さんの代名詞だったエルボーで反撃すると、最後は豪腕ラリアートで30分を超える激闘を制した。試合後は「一つお願いがあります」と切り出すや「俺をノアの一員として入れてください」とマイクで直訴。超満員の観衆は大「潮崎コール」で歓迎し、丸藤正道副社長からはノアのロゴが入ったジャージーを背中にかけられた。約3年半ぶりの再入団が認められた瞬間だった。潮崎は三沢さんの遺影に向かって深々と頭を下げると、静かに感謝の気持ちを伝えた。

 

 ノアを退団してから全日本プロレスに所属していた1年前、悩める日々を送っていた。「ノアを出て良かったのか?」「三沢さんだったら何て言うだろう?」。結果的には昨年9月いっぱいで全日本を退団するも、直前まで去就が決まらなかった。地元の熊本に帰り、別の仕事を探そうかとまで考えていた時、ふと目にしたのが自宅にあったかつての人気特撮ヒーロー番組「超人機メタルダー」のDVDボックスセットだった。三沢さんと潮崎には大の特撮ヒーロー好きという共通点があった。これは25歳の誕生日に三沢さんから贈られたプレゼントで、亡くなった後も“形見”として大切にしていたものだ。DVDを手にすると、生前に飲み会の席で三沢さんが口にした「人生に『たら』『れば』はねえから」という言葉を思い出した。迷いは吹っ切れ、背中を押されるようにノアへの復帰を決意したという。

 

 試合直後には前王者の杉浦貴(46)に襲撃され、7月30日後楽園大会でのV2戦が決定的になった。それでも「一つひとつ必ず乗り越える」と断言した潮﨑。師との別れから7年、再び方舟のかじ取りを認められた男は、エメラルドグリーンのマットを守り続ける覚悟だ。