23日のノア・名古屋国際会議場大会で、中嶋勝彦を破りGHCヘビー級王座の奪取に成功した藤田和之(51)を、盟友の〝悪魔仮面〟ケンドー・カシンが祝福した。

 カシンはこの日の第6試合で田中将斗とシングル初対戦。人を食ったような動きを見せたかと思えば鋭い攻撃を放つなど緩急を利かせて相手を翻ろうしたが、最後は2階バルコニーでの乱戦から転落した末、リングアウトで引き分けだった。

 その後、カシンはなぜかノアのジャージーを着てメインのGHC王座戦でセコンドとして藤田をサポート。盟友を勝利に導いた。

 ベルトを巻いた藤田の姿に目を細めたカシンは「いやー、ホントにすごい。GHC、IWGP、IGF。この3つを巻いた選手は藤田君だけなんじゃないかな。いや、今後も絶対に現れないだろう。グランドスラム。快挙だ。おめでとう」と拍手した。

 カシンの言う通り、藤田は2001年、04年、05年とIWGPヘビー級王座を3度戴冠。IGFチャンピオンシップには12年にジェロム・レ・バンナを破って輝いた。この2つに加え、GHCヘビー級も巻いたのは確かに史上初。これを「グランドスラム」と呼ぶ人は初めて見たが、確かに快挙ではある。

 その歴史的勝利を前にカシンは「やっぱり前日の節制が効いたんだと思います。あれが藤田君を勝利に導いた」と、盟友らしくとっておきのエピソードを披露してくれた。

 試合前日、ともに名古屋入りした2人は、ご当地料理の店で食事を共にしたそうだ。そこで藤田が食べたメニューは「わらじみそカツ、鶏のから揚げ、鳥の竜田揚げ、手羽先。あ、あと玉子焼き」(カシン)など。驚くべきことにその際、野獣は「今日はビールはいらないです」とアルコールを一切口にしなかったのだという。翌日の試合を見据えて控えたのだ。

 最後に台湾まぜそばの大盛りを平らげた野獣は、帰りにコンビニで「明日のために」と500ミリリットルの缶ハイボールを5本購入し自室に帰っていった。

 すると翌朝、野獣の部屋には7本のハイボール缶が。5本は空になっており、2本は栓が開いていなかった。藤田は「昨日は飲んでない。(12時を過ぎて)今日になってからは飲んだから。なんで2本増えてたか? 買いに行ったんだろうけど、その記憶が全くないんですよね…」と頭を抱える。その様子をカシンは頼もしげに眺めていた。

 最後まで聞くと、結局何が言いたいのかは分からなかったが、とにかく野獣は方舟の頂点に立った。これから、どんな防衛ロードを描いていくのか注目していきたい。