長期政権を築き天才を迎撃する――。ノア10日の後楽園大会で、GHCナショナル王者の船木誠勝(52)が望月成晃(52)を下して初防衛に成功した。さすがの強さでベルトを守ったが、見据えるのはかつて世界タッグをともに巻いたこともある武藤敬司(59)との〝還暦タイトル戦〟だ。

 船木は1月の大阪大会で拳王を撃破してナショナル王座を初戴冠。この試合後、電撃的にユニット「エムズアライアンス」を離れ、拳王率いる無頼派集団「金剛」に移籍することを宣言した。

 金剛として初めてのタイトル戦だったが、セコンドに就いたメンバーのバックアップも受けて奮闘。最後は掌底連打から胴締めスリーパーホールドで捕獲し、望月からギブアップを奪った。

 試合後は「こんなに周りに人がついている中で試合ができたのは初めて。一人で戦うよりも力を出せました」と笑顔。金剛メンバーを頼もしげに眺めた上で「望月選手は一人で来て一人で帰っていきましたね。(望月が所属する)エムズアライアンスもそろそろバラバラになるのか…」と冷や水をかけた。

 エムズアライアンスといえば、所属する武藤が8日に左股関節唇損傷で長期欠場を発表。船木にとって武藤は1984年に新日本に同期入団し、2010年に世界タッグ王座を一緒に巻くなど浅からぬ因縁があるだけに「世界タッグも武藤さんのケガで返上になったんですよ。そして強くなって戻ってきた。だから今回も戻ってくるでしょう」と断言。その上でナショナルのベルトを眺め「武藤さんは還暦祝いのちゃんちゃんこ代わりにこの赤いベルトを巻きたいって言ってますよね。だったらそれに挑戦する時、僕が王者として受けて立ちたい。それまで守りますよ」と拳を握った。

 その後に「武藤さんの誕生日はいつですか? 1か月後? え? 12月? そうですか…。だいぶ先なんですね…」と誕生日を知り、絶句したのはご愛嬌(あいきょう)だ。もちろん復帰の日まで王座を守るとした上で「まずは対戦したことがない相手とか、自分よりはるかに重いスーパーヘビー級の選手と戦いたい。挑戦者、募集中です」。同期によるナショナル王座戦は実現するか。ハードルは高いが期待したいところだ。