同門対決も容赦なし。31日のノア「三沢光晴メモリアル2021」(東京・後楽園ホール)でGHCナショナル王者の杉浦貴(50)に挑戦する“IQレスラー”桜庭和志(51)が「三陰交(さんいんこう)キック」の解禁を示唆した。かつてグレイシー一族撃破に使用した危険極まりない蹴り技。注目の王座戦に危ない空気が漂ってきた。

 2009年6月13日に死去した三沢さんのメモリアル大会で桜庭は、杉浦のベルトに挑戦する。生前は接点がなかったが「三沢さんがつくったノアのリングは、上がってみたら楽しくてしょうがない。つくっていただいたことに感謝ですよ。もっと早く知っていたら、PRIDEをやりながらノアもやっていたかもしれない」と語る。

 対戦相手の杉浦については「憎み合って戦うわけじゃないし、お客さんが楽しめる試合がしたいですね」としながらも「ぶつかり合う試合は見てて面白いけど、僕にはできない。やろうとも思わない。じゃあどうするか? 僕のスタイルに杉浦さんを引き込みたい」と厳しい表情になった。

 狙いもある。杉浦の脚だ。昨年10月、「QUINTET」のエキシビション戦で一騎打ちした際は、相手からの希望で下半身への関節技が禁止された。杉浦が上半身の攻防に限られたレスリングのグレコローマンスタイル出身ということもあり「弱点は脚にあり」と読んだのだ。

 そこで「足関節とか低いタックルでいけばどうかなと思うんですよ。カーフキック? それもいいと思います。僕のはちょっと違いますよ」と自信の笑みを浮かべる。カーフキックとは現在の格闘技界を席巻する、ふくらはぎを狙うキックのこと。クリーンヒットすれば一撃で戦闘不能になるため、一時は「使用禁止にすべき」との論争まで起きた危険な技だ。

 実は桜庭は、ふくらはぎを狙う蹴りを20年以上前から使用。現在主流の外側を蹴る形と違い、ふくらはぎ内側の急所「三陰交」と呼ばれる場所を狙うもので、00年5月のホイス・グレイシー戦でも使用。10年5月のハレック・グレイシー戦では大ダメージを与えた。

 クリーンヒットすれば“怪獣”杉浦といえど立ち上がれなくなることは確実だ。これで王座奪取を確信するIQ戦士は「防衛戦はロープブレークなしの一発勝負でやっていきたいです。3カウントとKOはあり。昔からやりたかったルールなんです。桜庭ルール? そうですね」との青写真も披露した。

 昨年度の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」で最優秀タッグ賞に輝いたパートナー対決は“決闘”と呼ぶにふさわしい試合となりそうだ。