ノアの29日・名古屋国際会議場イベントホール大会で、プロレスリングマスターことGHCヘビー級王者・武藤敬司(58)がマサ北宮(32)を退け、2度目の防衛に成功した。

 武藤が尊敬する〝獄門鬼〟マサ斎藤さん(享年75)を師匠に持つ北宮との一戦は、苦しい戦いを強いられた。ウイークポイントのヒザを攻められ、2度も監獄固めの餌食になった。

 だが、自らの頭突きで額から流血した挑戦者が冷静さを失った瞬間を見逃さなかった。ブレークを命じたレフェリーが2人の間に入ったところ、武藤はレフェリーの背を踏み台にして閃光魔術弾を発射。頭脳プレーで窮地を脱するや、前と後ろから閃光魔術弾を放つ。最後は狙いを定め、この試合5発目となる代名詞で北宮を振り切った。

 試合後、ユニット「エムズアライアンス」の面々が武藤の勝利をリング上で祝福。すると丸藤正道(41)が「おめでとうございます。ぜひ僕から戦ってほしい選手がいます。丸藤正道はいかがでしょう?」と名乗り出た。驚きの表情を隠せなかった武藤だが、プロレスラブポーズでタッチを交わし受諾の意思を示した。

 バックステージで武藤は「俺は『マサ斎藤のイズムを受け継いでいいか査定する』と(試合前に)言ったけど、受け継いでいいよ。俺が後見人になってやる。まだ伸びしろがある。マサ斎藤の名前を汚さないように頑張ってほしいよ」と挑戦者をたたえた。

 さらに「試合をやってる時も『マサさんが見てくれてるんだろうな』って思いながらやってたけど、最後に丸藤が突拍子もないことを言いやがって。あのへんから天国の三沢(光晴)社長に見られているんじゃないかなって。たぶん三沢社長に尋ねたら『(丸藤と)やってくれよ』と言ってくれるような気がしてさ。おそらく丸藤が一番、ノアのレガシーを引き継いでいると思うし。タイトルマッチを数戦やることで、コンディションも上がってきてるからね。丸藤もなめてきたら、ちょっと今の俺は違うよと」と語りV3戦を見据えた。