不協和音、発生? 21日のノア後楽園大会で“野獣”藤田和之(50)が王者の拳王(36)を破りGHCナショナル王座を奪取した。ノアでの初タイトルを喜ぶ王者には、杉浦軍のボス・杉浦貴(50)が次期挑戦を表明。これに対し野獣の参謀役を務める“悪魔仮面”ケンドー・カシンが不気味な反応を見せた。鉄の結束を誇る杉浦軍に、いったい何が起きようとしているのか――。

 藤田はカシンを除く杉浦軍メンバーと入場。続いて拳王も「金剛」のメンバーと登場し、拳を突き出すポーズを決めた。するとその前で藤田が仁王立ちし、会場からどよめきが起こる一幕も。カシンはその間に現れ、セコンドに合流した。

 試合は7分半もにらみ合うなど緊張感漂う展開となり、王者の顔面蹴りがクリーンヒットした野獣は大ピンチに陥った。それでも驚異の再生能力で復活。スピアー、パワーボムとつなぎ、お返しの顔面蹴りで3カウントを奪った。

 試合後、杉浦から「俺は強い藤田和之と戦いたい」と挑戦を表明されると「基本は、い
つ何時だから。遺恨があってもなくても、俺と手を合わせたいっていうなら誰でも相手にする」と受諾。最近「藤田和之」とSNSで検索をするようになった長女・眞妃琉さん(12)らに見せるため、あえて私服の下にベルトを巻いて会場を後にした。

 その様子を見ながら、仮面の下で目を光らせていたのがカシンだ。「まさか、杉浦が藤田君に挑戦するとは…」とわざとらしく手を広げ「これは杉浦軍分裂の危機だ。こうなったら杉浦軍からファンキーエクスプレスに移籍するしかない」とまさかの離脱を示唆した。

 ファンキー軍とはモハメドヨネと谷口周平のユニットで、反選手会同盟(齋藤彰俊、井上雅央)との敗者ユニット吸収マッチに勝って勢力を拡大している。カシンは「その時は杉浦軍全メンバーを引き抜いて移籍する」と豪語するが、追随するのは藤田だけだろう。それにへそ曲がり男の言葉だけに、そのまま受け止めるのは早計だ。

 ただ気になるのはこの日、杉浦と組んでタッグ戦に出場した際の悪魔仮面の行動だ。試合には勝ったが、アクリル板攻撃を誤爆させて「わざとやってるだろ!」と怒らせたかと思えば、試合後のコメントブースでは桜庭和志を杉浦の横に立たせ自らは無言で去るなど、あえて不協和音を生じさせる行動を見せている。

 試合から数時間後、4月29日の名古屋国際会議場イベントホール大会での藤田対杉浦のV1戦が正式決定した。杉浦軍の同門対決はどうやら、一筋縄ではいきそうにない。