ノア14日の福岡国際センター大会で行われたGHCヘビー級選手権は、王者のプロレスリングマスターこと武藤敬司(58)が、挑戦者の清宮海斗(24)を退けて初防衛に成功した。

 2月12日の日本武道館大会で潮﨑豪(39)から王座を奪取してIWGPヘビー、3冠ヘビーに続く3大王座奪取を達成した武藤。一方、昨年1月4日に潮崎に奪われた王座の奪還に向け「全てを超越した絶景を見せる」と宣言した清宮。34歳の差がある史上最年長王者と史上最年少王者は、昨年8月のノンタイトル戦以来の一騎打ちとなった。

 立ち上がりはじっくりとしたバックと関節の奪い合い。7分過ぎ、武藤がドラゴンスクリューから足4の字を狙うも、清宮がフロントネックロックで防御。序盤は清宮のペースとなるも、しかし武藤はフラッシングエルボーから腕固め、キーロックで呼吸を整える。執ような腕十字固めで反撃に出るや、まさかの雪崩式フランケンを決めて見せた。

 しかし清宮もダイビングミサイル弾、ジャーマンから花道をダッシュしてのウルトラタイガードロップ。立体的な攻撃で反撃に出る。猛虎原爆をこらえられると、前から後ろからダイビングヘッドバット。さらには最上段から捨て身のダイビングヘッド弾を見舞った。

 さらには故三沢光晴さんをほうふつとさせるフェースロック。25分が経過すると抱え上げての垂直落下式DDT、そして必殺のタイガースープレックスホールド。ここはカウント2・9で返された。

 すると武藤は電撃のフランケンシュタイナーから腕十字固め。一瞬の閃きで勝負をひっくり返してしまう。スイッチが入った武藤はドラゴンスクリューから閃光魔術弾。清宮はブロックするも痛めつけられていた左腕を押さえてうずくまる。構わず武藤はもう一度、閃光魔術弾。さらには倒れた清宮の左腕にドロップキックを決めるや、ガードの上から3度目の閃光魔術弾。立て続けに4発目まで放った。

 そして、セカンドロープから左腕にミサイルキック。ドラゴンスクリューから雄たけびを上げて5度目の閃光魔術弾を決めると、体をするりと反転させて腕ひしぎ逆十字固め。清宮はたまらずギブアップした。開始から貫いた腕殺しが奏功し、最後は怒涛の攻撃でプロレスリングマスターが、圧巻の強さと懐の深さを見せつけた。

 試合後はGHCタッグ王者のマサ北宮(33)がサイト―スープレックスで襲撃。次期挑戦に名乗りを上げた。

 苦笑いした武藤はベルトにキスをして引き揚げると「前半は苦戦した。清宮はクラシカルな昔のアメリカンスタイルのいいレスリングをしていた。楽しかったよ。あと数回やったら勝てなくなるんだろうなと思った。ただ負けないけどね。(北宮は)昔のマサ(斎藤)さんを思い出した。しかし休む暇も年取る時間も与えてくれないな…。まあ、片っ端からやってやりますよ。さあ、中洲に繰り出さないと」と笑顔で語っていた。