12日のノア日本武道館大会でGHCヘビー級王者・潮﨑豪(39)に挑戦する“プロレスリングマスター”武藤敬司(58)が、セクシーファイトでベルトとファンの総取りを狙う。5日の調印式を兼ねた会見では、まさかの「90分ファイト」を予告し戦前から揺さぶりをかける老かいさを発揮。さらには“アラカン”の魅力を武器に、方舟の頂点へとたどり着くつもりだ。

 調印を済ませた武藤は1週間後に迫った大一番への意気込みを問われ「いろいろ言ってきましたけど、90分やる体力をつけてきた自信がありますよ」と不敵な笑みを浮かべた。

 これにはさすがに潮﨑からも動揺の様子がうかがえた。潮﨑と言えば昨年、タイトル戦で時に50分を超える死闘を繰り返した。それが評価されて東京スポーツ新聞社制定「2020年度プロレス大賞」で殊勲賞を受賞したが、武藤は「俺のバイブルと違う」との理由で「そういうスタイルには付き合わない」と予告していたからだ。

 それを試合1週間前になってあっさり覆したのだから、心理作戦以外の何物でもない。天才は「できないから言ってると思われたらシャクじゃん。俺はなんでもできるから」とニヤリ。会見では過去の自分自身に比べて勝っているものを「それなりにキャリアを積んできたから『老かいさ』だろうな」と話したが、早くも発揮した格好だ。

 大ベテランは野望も尽きない。ノアの試合がABEMAで放送されスマートフォンなどでも見られるようになったこともあり、女性を中心に若者のファンが増えていると分析した上で、こう続ける。

「そういう若いファン、特に女の子なんか、こんな還暦近い“ハゲチャビン”に最初はときめきはしねえだろ。一見、清宮(海斗)とかのほうが目に留まるってのはわかってる。でも、試合してるうちにこっちに感情移入させることが俺の優越感というかさ。その中で若い女の子が『あの人、清宮よりかっこいいわ』って子宮をうずかせる試合をできたらいいよな」

 アラカンの“セクシーファイト”でベルトはもちろん、ノア期待のイケメン清宮や王者の潮﨑目当ての女性ファンを全員、強奪してしまおうというわけだ。

 武藤は潮﨑戦へ向けて「一つ、現時点でハッキリ言えるのは、技の美しさは俺のほうがあるってことだ」ときっぱり。絶好調でノアの頂点に王手をかけようとしている。