ノアのGHCヘビー級王者・潮﨑豪(38)が絶望の底から逆襲する。8月30日のGHCタッグ王座決定戦(川崎)ではベルト奪取に失敗した揚げ句、深い絆で結ばれていた「AXIZ」の盟友・中嶋勝彦(32)にも裏切られた。孤立無援となった豪腕が悩みに悩んだ末、固めた決意とは――。

「さすがに落ち込みました。あんな予想外の展開、プロレスラーになってから初めてだったし。人間不信というか、48時間は寝ないであれこれ考えては頭を抱えましたよ」。いつもは豪快な笑みを絶やさない潮﨑が、深いため息をついた。

 中嶋とのコンビで臨んだ杉浦貴(50)、桜庭和志(51)組とのタッグ王座決定戦は、杉浦のフロントネックロックで絞め落とされ、中嶋からは失神状態のまま決別のバーティカルスパイクを放たれた。しかも中嶋は拳王(35)率いる反体制派集団「金剛」に電撃加入。1日に予定されていた「AXIZ」のインターネットサイン会は潮﨑単独に変更となり「約2年も中身の濃い試合を残せた相棒ですからね。記憶は飛んでいたけどショックだった」と振り返り、再び肩を落とした。

 だがGHC王者として落ち込んでばかりもいられない。「なぜ対極にいた拳王と合流する必要があったのか、リング上で確認したい。確認さえできれば、相棒から倒すべき敵の一人に転じる。俺を裏切る真意と必要性は何だったのかを確かめる」と言葉に力を込めた。

 その機会は早々と訪れた。6日の静岡・ふじさんめっせ大会では6人タッグ戦(潮﨑、清宮海斗、谷口周平組VS拳王、中嶋、稲村愛輝組)が決定。「リングに上がり反対側のコーナーにいる彼の目を見た瞬間、真意は分かると思うんです。レスラーってそんなもんでしょ? 確認したら敵として叩き潰すだけ」と制裁に動く意思を示した。

 唯一の光明は清宮が救出に来てくれたことだが「同じコーナーに立つことで清宮の真意も確認したい。組みはしますが『AXIZ』を解散して、次はすぐに(清宮のチーム)『NEW HOPE』へというわけにもいかないですから」と慎重な構えを見せる。

 18日の名古屋国際会議場大会からはリーグ戦「N―1 VICTORY」も開幕する。「裏切った男(中嶋)、絞め落とした男(杉浦)、60分引き分けた男(拳王)、タッグ王座を奪った男(桜庭)。こんなにテーマが多いリーグ戦、優勝するしかないでしょ。アイ・アム・ノアという気持ちは変わりませんから!」。反撃の秋が始まる。