ノア2日の東京・両国国技館大会で行われたGHCヘビー級選手権は、王者・清宮海斗(23)がN―1覇者の最強挑戦者・拳王(34)を撃破し、6度目の防衛に成功した。新生ノア初の両国決戦で新たな時代の到来を証明した若き王者は、団体旗揚げ20周年となる2020年も、誰も視界に入れたことがない風景を切り開いていく覚悟だ。

 清宮は10月22日の浜松大会で拳王のダイビングフットスタンプを浴びて頸椎を捻挫。「1週間安静」の診断が下され、以降の試合を欠場した。立ち上がりは動きが心配されたが、新生ノア初の大舞台でぶざまな姿を見せるわけにはいかない。開始から闘志を全開にして、拳王が放つあらゆる角度からの蹴りを耐え抜いた。

 10分過ぎには拳王のニーアタックをコーナーに叩きつけると、場外へ難易度Eのウルトラタイガードロップを決める。すると強気な拳王は、清宮にストレッチプラムを伝授した川田利明(55)のような小刻みな顔面蹴りで挑発に出てきた。

 この攻撃で闘志に火がついた王者は、売られたケンカを買うように新技ストレッチプラム式フェースロック。かろうじて逃げ切った拳王は、何とエプロン上で危険極まりない投げ捨て式飛龍原爆を放つ。この一撃で清宮の意識は完全に飛んだ。

 すぐさま最上段からのダイビングフットスタンプを顔面と後頭部に決められたが、絶対に3カウントだけは許さない。それどころかコーナー最上段に立つと、驚異の雪崩式リバースDDT。両者が意地だけでエルボーと蹴りを打ち合う間に「25分経過」のアナウンスが場内に響いた。

 ここで王者が再度のストレッチプラム式フェースロックで体力を奪いにかかる。猛虎式原爆をカウント2・9で返されると、跳躍力抜群のドロップキック3連打とリバースDDTから再度のタイガースープレックスホールドがズバリ。最強挑戦者を必殺技で退け、31分10秒の死闘に終止符を打った。

 試合後は誰一人として席を立とうとしない5523人満員の場内を見渡した清宮は「ちょっとでも気を抜いたら危なかった。勝ったら言おうと思っていたことが全部頭から飛んでしまいました。でも、戦った拳王と、今日ここに集まってくれた皆さんは最高です。僕は本気でプロレスリング・ノアを業界1位の座に押し上げます。これからも一緒に一番まで走っていきましょう!」と絶叫した。

 若き王者は2020年も進化を止めず、疾走を続けていく。