ノアの天才・丸藤正道(40)が18日、魔界の住人対策を完成させた。11月2日の東京・両国国技館大会で初対決する武藤敬司(56)の化身、グレート・ムタとの一戦に向け、現世に存在する奇跡的な「魔界」を訪問。一気にムタ撃破へ自信を深めた。

 丸藤が、魔界に潜伏する自身の化身、グレート・マルからの「ゴー・トゥー・ヒア…」という姿なき声を聞いたのは18日の夕暮れだった。指定された場所は東京・六本木のホラーダイニング「Trick or Treat」。マニアには有名な空間で、鬼才と呼ばれるハリウッドの名監督ティム・バートン氏(61)も来日のたびに訪れる現世の魔界だ。

 本紙が指定された時間にドアを開けるや、日常とはかけ離れた光景が待っていた。薄暗い照明のもとで無人のイスが揺れ続け、床はギシギシと不気味な音を立てる。柱時計は異様な速度で針が回っている。まさにWWEのブレイ・ワイアットがすみかとした悪魔の館だ。右に骸骨、左にボロボロになった人形を眺めつつ、恐る恐る奥へ進むと、ろうそくの炎に照らされる天才の姿があった。

「来ないで!」。本紙を手で制した丸藤の横には、ペイントを施した悪魔のような大柄な人間が座る。オーナーのD.ZOMBIE館長(魔界年齢666歳)だ。白煙が流れる中、2人は小声で30分以上もヒソヒソ話を続ける。不安そうな丸藤の表情は、やがて生気に満ちていった。どうやら魔界対策を授かっているようだ。

 対話を終えた2人はシャンパンで乾杯。一気に飲み干すや「おいしい…。体に魔界のエキスが入ったみたいだ」と笑みを浮かべた。詳細は明かさなかったものの「邪悪な魂には邪悪の魂を。それは現世に生息する人間にも可能だということが分かった」とだけ明かした。さらには「マルの降臨がなくても勝てる。俺の中に邪悪な魔界の魂が宿ればいいわけだから」。トラースキックを急所打ちに変え、ロープで首を縛ったパーフェクトキーロック、毒霧に合わせた口元への虎王、そしておきて破りの毒霧噴射など、“邪悪攻撃”に徹すればムタなど恐れるに足りない。

「一夜だけ丸藤正道に邪悪な魂が宿るぜ。クックック…」。首をかっ切るポーズを決めた「邪悪な天才」が、歴史的な勝利を現実のものとする。