【飛翔の年・特別連載4】東京スポーツ新聞社制定「2018年度プロレス大賞」受賞者が19年のビジョンを語る特別連載「飛翔の年」第4回は、ノアのGHCヘビー級王者・清宮海斗(22)だ。昨年大きく成長を遂げて敢闘賞を初受賞。まだまだ成長過程の若き王者は同王座の最多防衛記録更新を目標にぶちあげ、闘志を高める。そのファイトを支えるのは、意外にも「昭和の時代」への敬意だった。

 ――2018年は苦い経験から始まった

 清宮 年初(1月6日)、拳王さんに(GHCヘビー級タイトル戦で)負けてスタートしましたからね。そこから「拳王さんにリベンジする」というのを信念に走ってきました。最後にベルトも取れましたけど、その瞬間はうれしさよりも「俺がノアの顔になるんだ」という責任感の方が強かったです。

 ――どんな王者像を描いていきたい

 清宮 ベルトとともにのぼっていきたいですね。どこに行っても(会場を)超満員札止めにするのが目標です。そのために毎回ファンのみんなが笑顔で帰れるような、ハッピーなものを目指したいですね。

 ――それはデビュー当時のノアが“バッドエンド”続きだったからか

 清宮 鈴木軍が暴れていて、ハッピーなんてなかったですからね…。それ以降も、みんなが笑顔で終わるっていうのがあまりなかったと思うんですよ。僕はチャンピオンとして、そういうものをつくり上げていきたい。

 ――そのためには

 清宮 人間って、誰もが壁を乗り越えないといけないシチュエーションを経験するじゃないですか。でもそれをリング上で今、まさに見せられるのは僕だけだと思うんです。誰とやっても高い壁との試合になりますから。それを全て乗り越えて、最多防衛記録(杉浦貴の14回)を塗り替えたいので見ていてください。

 ――昨年12月28日には長州力、藤波辰爾のレジェンド2人と6人タッグ戦で戦う経験もした

 清宮 やっぱり、お2人とも戦い方がシンプルというか。そういう戦いって、最高なんですよ。戦いの原点だと思うんです。プロレスで最初に教わることの一つがヘッドロックを離さないことなんですが、あの日藤波さんはヘッドロックを簡単に離してくれなかったんです。改めてそれが一番大事なんだと教えてくれたんだと思っています。

 ――そういうシンプルな戦いを目指している

 清宮 はい、シンプルが一番いいんです。シンプルに、お客さんの心を震わせる戦いをしたいんです。今はプロレスだけじゃなくて社会全体が複雑になってるじゃないですか。そこであえて僕はシンプルに。

 ――複雑化した社会に風穴をあける

 清宮 そうです! 例えば最近は1990年代の歌にハマっていて。広瀬香美さん、山下達郎さん、ZARDさん、それに…(以下略)。なんで心に響くのかなって考えたら、やっぱりシンプルだからなんですよ。最近は「負けないで」(ZARD)をよく聴いてます。練習していても負けないぞって思えるから。シンプルなものは人の心を震わせるんです。今日より明日、明日よりあさってと強くなって、ファンのみなさんの心を震わせられる王者になっていきたいです!