【ノア】清宮 グローバルタッグリーグ戦Vの原動力はジャズ界の巨人

2018年11月26日 16時30分

清宮は必殺の猛虎原爆固めで中嶋(上)を沈めた

 方舟マットにニューヒーローが誕生した。ノア「グローバルリーグ戦」の優勝決定戦が25日、東京・後楽園ホールで行われ、Bブロック代表の清宮海斗(22)が、Aブロック代表の中嶋勝彦(30)を撃破して、殊勲の初優勝を決めた。これでGHCヘビー級王者・杉浦貴(48)への挑戦が決定的に。キャリア3年の若武者の快進撃を支えたのは、全く異なるジャンルの“巨匠”だった。

 Aブロック1位の丸藤正道(39)が左肩の挫傷に加え、23日の横浜大会で左大腿筋を断裂したため前夜にドクターストップに。第1試合で2位選手3人(中嶋、拳王、佐藤耕平)による代表決定戦が行われ、中嶋が優勝決定戦出場を決めた。

 直前の混乱にも清宮に迷いはなかった。開始から重い蹴りを浴び続けたが、後頭部へのドロップキックで動きを止める。最後は急直下のジャーマンから猛虎原爆固めで歓喜の3カウントを奪取した。大「海斗コール」を背に「俺はみんなと新しい景色を見たい!」と絶叫。解説席の杉浦に挑戦を直訴すると、王者も快諾した。

 4月のGHCタッグ王座奪取(パートナーは潮崎豪)に続き、デビュー3年目でのシングル初栄冠。自ら「息抜きは練習しか知らない。子供のころからプロレスしか頭になかったので」と語る超マジメ青年の飛躍を支えたのは、意外にもジャズだった。1960年代に黄金時代を築き「ジャズ界の巨人」と呼ばれたサックス奏者、ジョン・コルトレーン(享年40)に心酔している。

「有明の合宿所時代、暇つぶしにユーチューブを眺めていたら(ソプラノサックスの)音色が心に響いた。『マイ・フェイバリット・シングス』という曲です。以来、ジャズを聴くことが一番の気分転換になった。今は宿舎や移動中のバスでも聴いています」 

「マイ――」はミュージカルの名作「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌で、多くの音楽家がカバーしている。コルトレーンの作品はその代表格。60年の発表から没年の67年まで、あらゆるスタイルで演奏し続けた。

「音楽とプロレスって似てますよね。美しいメロディーで聴く人の心をつかんだり、リズムが転調したり、全体に変化を持たせたり…試合の組み立てにも影響を与えてくれたと思います」

 ひたすら突進だけを続けたデビュー時から心身ともに飛躍を遂げ、公式戦では杉浦、潮﨑を破って成長を証明した。

 最近ではクラシックにまで幅を広げ、人気ピアニスト、イングリット・フジコ・ヘミングの作品集を就寝時に聴く。1月の初挑戦時とは違う。身も心も豊かになった若武者が、ノアの新時代を支える。