GHCヘビー級王者・杉浦貴(48)が30日、新たな防衛ロードに向けて決意を固めた。29日後楽園大会で最大のライバル・丸藤正道(38)を退けてV2を果たした杉浦はこの日、一夜明け会見に出席。挑戦表明を受けた4選手全員を退ける覚悟を明かした。老け込むどころか精力ビンビンで史上最多通算防衛記録更新(現在19回)を続ける王者を支えるのは、女子サッカーで活躍する愛娘・華穂さん(17)の存在だった。

 杉浦は危険な技の応酬の末、丸藤を撃破して王座を防衛。しかし余韻に浸る間もなくリングには拳王(33)と清宮海斗(21)が登場して挑戦を表明。続けてGHCタッグ王座を奪取したばかりの中嶋勝彦(30)とマサ北宮(29)からも対戦を要求され、まさに四面楚歌、いやモテモテの状況となった。

 これを受けて6・10後楽園大会で拳王と清宮による次期挑戦者決定戦の開催が決まり、その勝者を6・26後楽園大会で迎え撃つことになった。王者は「どちらでもいい。勝った方と戦う。2人と対戦してもいいしね」と余裕の表情。かつて共に行動していた拳王と清宮の“決起”にも「もともと俺のパートナーだったけど、グレて出ていっちゃってね。お父さんの言うことを聞きたくないんじゃないの?」と年長者の貫禄を見せつけて、世代闘争を歓迎した。

 老け込む気配すらない杉浦だが、まさに父としての思いが支えとなっている。「この間、ほぼ1年ぶりに娘の試合を見に行ったんだよ。その時に、たった1年ですごく成長しているのを感じた」と目を細める。

 現在高校3年生の愛娘・華穂さんは、山梨県の強豪校でサッカー部に所属。ベンチながらも2年時には全国大会も経験した。現在も寮生活を続け、MFとして練習漬けの日々を送っている。今月初旬には山梨まで車を走らせ、華穂さんが出場する県予選の応援に駆け付けたという。

「今年からチームのキャプテンを任せてもらったこともあって、久々に会ったら精神的にもすごく成長してたんだよ。娘と勝負するわけじゃないけど、その姿を見て『俺も(若手に)負けられない』って思ったね。言葉には出さないけど、娘も『お父さん、頑張れ』って思ってくれてるんじゃないかな」

 ハレンチ王らしからぬ言葉で泣けてくる…。愛するパパの激励が届いたのか、この日の試合は4―0で快勝。その5日後の試合で、華穂さんは何と8得点をマークする大活躍を見せた。全国大会を目指す娘の成長から、パワーを受け取った杉浦。自身も成長を止めずに新世代の挑戦を退け、さらなる高みを目指す。