新日本プロレス11日の兵庫・尼崎大会で行われた「NEW JAPAN CUP(NJC)」1回戦で大波乱が起こった。内藤哲也(35)がザック・セイバーjr.(30)に敗れ、まさかの初戦敗退に終わったのだ。東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」2年連続MVPにして優勝候補の大本命がいきなり姿を消し、NJCに春の嵐が吹き荒れた。

 サブミッションマスターの変幻自在な関節技に苦しんだ内藤は、20分過ぎにグロリアからフライングフォアアームを決め必殺のデスティーノを狙った。ところがこれを回避されると、そのまま再びグラウンドに引きずり込まれた。

 右ヒザをIVニーロック、左ヒザをマフラーホールドで決める複合関節技「オリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デス」に捕らえられ、完全に動きを封じ込められた形でギブアップ。「手のひらに乗せられるってこんな感じなのかな…。完封されたっすね。負けたことは認めますよ。非常に楽しかったぜ、カブロン」と吐き捨て控室方面へ歩き始めた。

 だがよく見ると、去り際に「追って来い」と目で合図をしている…。敗戦の弁を述べ足りなかったのか、会場通路に倒れこみながらも本紙による追加取材がスタート。

 撤収作業に追われるスタッフから冷たい視線が向けられてもお構いなしだ。

 開幕前「16選手中11選手は出場資格なし」などと大口を叩いただけに、優勝候補5人にも挙げなかったザックに敗北を喫するとはバツが悪いことこの上ない。「言い訳は一切しない。完敗です」と認めた上で「優勝より俺を倒す目的でこのトーナメントに出ている選手もいたわけで。最大の見せ場を3日目にしてつくられてしまった責任は感じますよ」と陳謝した。

 だがその一方で「逆に俺が負けたことで、優勝予想のほうが面白くなったんじゃない? それに俺も今すぐには気持ちを切り替えられないけど、1回戦で敗退した内藤はこれからどうするのか。どっちにせよ注目は内藤でしょ。このリングの中心は俺ってこと」と負け惜しみも忘れなかった。

 まさかこの減らず口を叩きたいがためだけに会場に居残ったのか…。何はともあれ、優勝候補大本命のMVP男が早々に姿を消したことで、NJCは予測不能な混戦模様となってきた。