【連載:1・4東京ドーム レッスルキングダム12への道(1)】今年も残すところあとわずか。年明け1月4日には、プロレス界の年間最大興行・新日本プロレス東京ドーム大会が行われる。本紙では同大会の見どころを紹介する連載「レッスルキングダム12への道」(全3回)がスタート。第1回は王者オカダ・カズチカ(30)と内藤哲也(35)が激突するメーンイベントのIWGPヘビー級選手権をクローズアップする。

 IWGP王者のオカダとG1クライマックス覇者・内藤の頂上決戦。両者の対決は2016年6月19日の大阪城ホール大会以来となる。この試合で内藤を破りIWGP王座を獲得したオカダは、現在までに8度の防衛を重ね、約1年半保持し続けて同王座史上最長政権を記録。一方の内藤はベルトを失いながらもロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン旋風でプロレス界を席巻し16、17年と2年連続で東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞MVPを獲得した。

 両者は14年1月4日東京ドーム大会のIWGP戦で激突している(オカダが勝利)。当時は2大エースとして君臨していた中邑真輔(現WWE)と棚橋弘至のIWGPインターコンチネンタル王座戦が実現し、ファン投票の末にIWGP戦は事実上のセミファイナルに追いやられた。4年の月日を経てオカダ、内藤ともに業界トップの地位を揺るがぬものにしたことで、今度こそ誰もが認める黄金カードに昇華させた。

 しかし、大舞台での経験はオカダが大きくリードしている。IWGP初挑戦戴冠、G1初出場Vを果たしたが、ドームのメーンでは13、15年と2度棚橋に敗れ、3度目の16年でついに初勝利を挙げた。

「口では説明しづらいものですよ。実際にその舞台に立ってみて余計にその遠さが分かると思う。(内藤は)実力はあると思いますよ。ただ5年前の僕みたいですよ。内藤さんは5年遅いんです、やってることが。今回で成長するんじゃないですか」(オカダ)
 だが内藤にはIWGPベルトに頼らず、独自の手法で業界トップに上り詰めた自信がある。

「それはあなたの経験談でしょ? お前の物差しで俺を測るなよ、と。4年前の俺は余裕がなかった。常に周りの目を気にして試合してましたから。今はプロレスを楽しめるようになったのが一番ですね。今のオカダはベルトを持っているのに、観客の支持もMVPも内藤にかっさらわれて…。そろそろ楽になりたいんじゃないの?」(内藤)

 過去にないほど新日本一団体の独走状態が続いているとはいえ、プロレス大賞の歴史でMVPを2年連続で受賞したのはアントニオ猪木、ジャンボ鶴田、天龍源一郎と、オカダ、内藤の2人。来年のドーム決戦は新日本のみならず、プロレス界の未来を占う一戦と言っても過言ではない。