11日の新日本プロレス・大阪城ホール大会でIWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカ(29)が、ケニー・オメガ(33)と60分フルタイムドローの死闘の末に6度目の防衛に成功した。ベルトを死守した王者は、団体初の米国ビッグマッチ・ロサンゼルス大会(7月1、2日)で、かつて米WWEのエース候補として活躍したCody(31)とのV7戦が決定的。世界最大団体・WWEの打倒という大野望を胸に、レインメーカーが米本土上陸を果たす。

 今年の1・4東京ドーム大会で死闘を繰り広げた最強挑戦者と再び対峙した大阪城決戦は、戦前の予想通り壮絶な展開となる。45分過ぎにはケニー必殺の片翼の天使を浴びてしまったが、間一髪で足がロープに届いて九死に一生を得た。

 50分を超えても両者の攻防は激化の一途だ。旋回式ツームストーンでもケニーの驚異的なタフネスを断ち切れない。残り時間1分で渾身のレインメーカーを炸裂させたが、オカダはダメージからカバーにいくことができずに60分時間切れのゴングを聞いた。

 IWGP戦では2005年3月(の小島聡VS中邑真輔)以来、約12年ぶりのフルタイムドロー。ベルトを死守したオカダはリング上で「勝つという最高の結果にはならなかったですけど、最高の60分でした。そしてこの俺が最高のIWGPヘビー級王者です」とアピール。そして「世界にカネの雨が降るぞ!」と次なる野望を掲げた。

 その言葉通り、次の舞台は団体初の米国ビッグマッチだ。IWGP戦の開催が決定済みのロス大会の挑戦者にはCodyが名乗りを上げ、V7戦での対戦が決定的となった。

 米国でのIWGP戦はオカダにとって大きな意味を持つ。世界のプロレス界を独走するWWEでは現在、中邑真輔(37)、AJスタイルズ(40)、フィン・ベイラー(35)ら新日プロ出身レスラーがトップ戦線で活躍。新日プロのレベルの高さはいまや世界中が認めるところとなっている。

 関係者によれば、5月に新日マットを視察に訪れたWWE首脳のウィリアム・リーガル(49)も、オカダをはじめとした新日トップ選手に文句なしの「Aクラス」と最高の評価を与えた。さらに、オカダは7日に来日したベイラーと旧交を温め、その場で「新日本との契約はいつまでだ?」と質問を受けた。「秘密だよ」と答えたオカダにベイラーは「早くしないと俺が引退しちゃうよ」と“勧誘”していたという。旧知の間柄だからこそのジョークも交じってはいるが、WWEを筆頭に世界のマット界がオカダの動向に注目していることは間違いない。

 それだけに、文字通り「新日本の顔」として米本土上陸を果たすオカダの意気込みは並ではない。中邑らの活躍に「意識しないわけがないですよね。ある意味で『あのすごいレスラーたちがいた団体が来るのか』と思われるわけですし“本場”の戦いを見せていきたい」とキッパリ。さらにWWEに対しても「対抗心? ありますよ。敵とは思ってないけど、ライバルだと思ってます。そこを超えるために選手、社員、頑張っているわけですから」と宣戦布告だ。

 いざ世界の勢力図を塗り替える戦いへ。日本が誇るレインメーカーが、壮大な野望へ向けた第一歩を米国の地に刻む。