新日本プロレス14日の滋賀大会で行われた「NEW JAPAN CUP」2回戦は、バッドラック・ファレ(35)が矢野通(38)を下し、準決勝(19日、浜松)進出を決めた。極悪外国人軍団「バレットクラブ」の用心棒が、シングル王座戦線に猛突進。母国・ニュージーランドにプロレスを普及させる「王国建設」の大野望が、ファレをNJC初制覇に駆り立てる。

 くせ者・矢野にテーピングで場外フェンスに固定され、あわやリングアウト負けの危機に陥ったファレは、怪力で引きちぎってなんとか脱出に成功。カウンターのスピアーからボディープレスで形勢逆転に成功し、グラネード(変型首折り弾)でベスト4進出を決めた。準決勝ではEVIL(30)と激突する。

 2014年9月にIWGPインターコンチネンタル王座から陥落して以降シングルタイトルから遠ざかっているが、今回のトーナメントにかける思いは強い。今年2月、ニュージーランドのオークランドに自身が運営する「ファレ道場」をオープンさせたばかり。同道場ではファレ以外にもボクシングやキックボクシングのコーチも招き、4月からは本格的なレスラー志望の生徒を募集して指導する予定だ。

 道場設立は、10年4月のデビュー当初からずっと抱き続けてきた夢だった。「時間はかかったけどね。リングも自分で作ったんだ」と目を輝かせるファレは「新日本のブランドを世界に広めたいのが一つ。あとニュージーでは俺みたいにデカい体を持ってるヤツは、今のところラグビーしかない。日本に来て成功するチャンスを他の人にもあげたい」と明かした。

 ケガのためラグビー選手としての夢を諦めたつらい過去を乗り越えてレスラーとして活躍している経験を生かし、母国の若者に将来の選択肢を増やしたいというわけだ。

「NJCで優勝すれば、(現地の)若い人たちにも『大きいことができるんだ』と分かってもらえる。今年は自分も次のレベルに行きたい」と豪語したファレ。ニュージーランドを新たなプロレス大国とする野望を胸に、NJCからさらなる飛躍を遂げる。