新日本プロレス4日の東京ドーム大会で行われたIWGPヘビー級選手権は、王者のオカダ・カズチカ(29)が、ケニー・オメガ(33)の挑戦を退けて2度目の防衛に成功した。史上初の外国人G1クライマックス覇者との頂上決戦を制し、改めて業界不動の主役であることを証明。20代ラストイヤーを迎えたレインメーカーが、2017年の公私にわたる2大野望を明かした。

 年間最大興行で迎えた最強挑戦者との頂上決戦は、想像を絶する46分45秒のロングバトルとなった。ケニーの驚異的な身体能力と、雪崩式投げ捨てドラゴン、レインメーカー式ヒザ蹴りといった独創的な攻撃に苦戦を強いられたオカダだったが、片翼の天使を切り返すと旋回式ツームストーンパイルドライバーを発射。最後はレインメーカーで東京ドーム決戦史上に残る壮絶な死闘に終止符を打った。

 昨年のドーム大会後には、中邑真輔(36)ら所属選手が大量離脱。体を張って団体をエースとして支えた。大きな危機を乗り越えた新日プロはこの日、さらなる挑戦として7月1、2日(日本時間2、3日)に米カリフォルニア州ロサンゼルス(ロングビーチコンベンションセンター)でビッグマッチを開催することを正式発表した。

 実はこれはオカダが昨年6月に開催希望を団体に伝えていたもの。「来たかって感じですね。そのうちIWGPタイトルマッチも(米国で)やりたい」と目を輝かせた。

 常に団体と業界をけん引し、この日も不動の主役としての存在感を改めて証明したオカダだが、11月には30歳を迎える。今年は20代のラストイヤー。25歳で史上最年少タイのプロレス大賞MVPに輝くなどあらゆる栄光を達成してきた男の20代最後の野望とは何なのか。

「24歳で(日本に)帰ってきた時から、30歳までが勝負だと思ってた。今の立ち位置というのはもちろん想像してましたけど、プロレスはもっともっと広めたいですよ。そうなってるものだと思ってましたから。そこだけ見込み違いですね」

 米WWEがほぼ独走状態に入っている世界のプロレス界に挑戦状を叩きつけた裏には、現状に満足することなくさらなる業界の地位向上を目指す姿勢がある。

 さらにはリング外でも果たせていない公約がある。2015年末のMVP受賞会見では「結婚」を目標に掲げながら、有言実行のレインメーカーらしからぬ“未遂”に終わっている…。オカダは「王者として海外にも行って。プロレスを愛してしまった結果、ですね。このままでは今年もそうなりそうなので、プロレスラーとしてもっとレベルアップして、オカダ・カズチカひとりの人間としても成長していきたい」と“雪辱”に意欲を見せた。

 女性人気が高い若きスターにはかつて団体との間に「結婚禁止」条項が盛り込まれた契約が結ばれていたが、2年前の契約更改ではこれが削除されている。また2歳のめいが生まれて以降は地元の愛知・安城への帰省頻度が激増するほど、子供好きの一面もある。「先輩からも『早くしたほうがいい。ケガもある職業だし』と言われますしね」と、年々高まる結婚願望を本紙に明かした。

 若くしてその両肩にプロレスの未来を託されたオカダにとって、今年はあらゆる意味で勝負の一年。公私にわたる2大野望を両立させ、次なるステージにカネの雨を降らせていくつもりだ。