新日本プロレス10日の両国国技館大会でケニー・オメガ(32)との来年1月4日東京ドームIWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦に臨む後藤洋央紀(37)が6日、勝った場合でも権利証を破棄する意向を明かした。2012年に誕生した権利証は、過去に移動した前例がない。G1クライマックス決勝戦からわずか2か月後の早期再戦というチャンスを得た後藤が、雪辱の先に見据える道とは――。

 後藤は、9・22広島大会でYOSHI―HASHIを下して権利証を防衛したケニーに挑戦を表明。両国大会での争奪戦出陣が決まった。

 G1決勝戦からわずか2か月後の早期再戦にケニーは不満をあらわにしているが、後藤以外に候補者がいなかったのも事実。「こんなにすんなり決まるとは思わなかったけど、決まった以上はしっかり借りを返したい」と闘志を燃やした。

 同大会では王者オカダ・カズチカ(28)と丸藤正道(37=ノア)のIWGPヘビー級戦も行われる。両試合の勝者同士が、来年のドーム決戦に進出する構図だ。しかし後藤は「権利証が欲しいからやるわけじゃない。ケニー・オメガに勝ちたいだけ。争奪戦に勝ったからといって、G1覇者がケニー・オメガという事実は変わらないですし」と、勝った場合も権利証の受け取りは拒否する意向を明かした。一体どういうことなのか。

 そもそも権利証はG1制覇の副賞であって正式なタイトルではない。優勝者に後日ワンチャンスで勝って「他人のふんどし」で最大舞台であるドームの挑戦者を名乗るのは美学に反する、というのが後藤の主張だ。何より両国決戦で雪辱に成功しただけで立場が丸々入れ替われば、G1決勝戦とは何だったのか…となることは、準優勝者の後藤が一番理解している。

 仮に移動した権利証が破棄されてしまえば、ドーム決戦のIWGP挑戦者争いは一時的に白紙となる。後藤は「勝てば当然、俺はメーン(IWGP戦)の勝者に挑戦表明しますよ。その資格が生まれると思っている。あとは権利証を失ったG1覇者か、その人間に勝った俺か、それとも他に誰か出てくるのか。ドームの挑戦者に本当にふさわしいと思う人間を、その時の王者と会社が判断してくれればいい」と勝利後の青写真を明かした。

 棚ボタの通行手形は必要ない。後藤はただ自分が信じた道を突き進むため、まずは前例なき争奪戦での下克上を果たす。