新日本プロレス17日の東京・大田区総合体育館大会で行われたIWGPジュニアヘビー級選手権は、挑戦者のBUSHI(33)がKUSHIDA(33)を撃破し、第74代王者に輝いた。「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」(LIJ)でブレークのキッカケをつかみ、悲願の同王座初戴冠。その躍進を影で支えた「サッカー界のパレハ(相棒)」とは――。

 スーパーJカップ覇者にして5連続防衛中だったKUSHIDAをMX(飛びつき式コードブレイカー)で粉砕。大金星でベルトを獲得したBUSHIは「次の対戦相手、最強の挑戦者を俺が指名する」と早くもV1戦に腕をぶした。

 全日本プロレスから業界初の「レンタル移籍」を経て、2013年に新日プロに完全移籍。昨年12月に内藤哲也(34)率いるLIJに加入し、悲願のIWGPジュニア初戴冠を果たした。

 そのBUSHIの急成長をリング外の「パレハ」として見守り続けたのが、元サッカー日本代表MF岩本輝雄氏(44)だ。新日プロファンの岩本氏は今年の1月4日東京ドーム大会を機にLIJの熱烈な“サポーター”となり、メンバーと親交が深い。大田区決戦もLIJグッズを身にまとって会場で観戦し「20分を超える試合だったけど、スタミナもあった。勝ってくれると信じてました。素晴らしいですね」とBUSHIの勝利を祝福した。

 高校までサッカー部に在籍し、小柄な体格ながら俊敏キーパーとして活躍していたBUSHIにとって、元日本代表の10番は憧れの存在でもあった。

 BUSHIや内藤の海外武者修行先で、LIJのルーツ・メキシコのリーグに岩本も挑戦経験があったことで意気投合。普段は口を開けば8割が憎まれ口のBUSHIだが「後楽園大会のたびに電話をくれたりもして。『あの技の入り方よかったね!』とか。応援してもらえたら、モチベーションにはなるよね」と感謝の言葉を素直に述べる。

 そんな恩人への恩返しとしてBUSHIは「ジュニアの王者として東京ドームで一緒に入場とかできたら面白い。岩本さんの分のマスクも用意しておきますよ」と、競演プランも明かす。これには岩本も「いいですね! 僕は彼らとメキシコに一緒に行きたい。スペイン語しゃべれるんで!」と呼応。サッカー界との垣根を越えた制御不能な絆から、今後も目が離せない。