昨年度準優勝男の胸中とは。新日本プロレス「G1クライマックス」Bブロック公式戦(29日、後楽園ホール)で、SANADA(33)がチェーズ・オーエンズ(31)を下し2勝目を挙げた。Aブロックではパートナーの内藤哲也が左ヒザ負傷で離脱。優勝決定戦(10月21日、東京・日本武道館)の相手に指名されたIWGP世界ヘビー級王者・鷹木信悟に呼応し、内藤へのエール代わりの同門対決を実現させる。

 SANADAはオーエンズが仕掛けたおきて破りのオコーナーブリッジをSkull Endで捕獲。最後はラウンディングボディープレスでテクニシャン対決を制し、白星を先行させた。

 昨年大会準Vの男が狙うのは頂点しかない。「やっぱり優勝した人間と準優勝の人間では、同じことを言ってても説得力が違いますから」と秘める決意を明かした。

 IWGP世界王者の鷹木からは優勝決定戦での対戦を熱望されている。「モテるのはうれしいですね。自分もTKG(鷹木)か哲ちゃん(内藤)とできればって思ってた。哲ちゃんがケガをしてしまったので、TKGがベストの相手ですね」となぜか唐突に内藤を「哲ちゃん」と呼び始めつつ呼応した。

 LIJ同士の優勝決定戦が実現すれば、欠場中のパートナーにとっても最高の発奮材料となる。SANADAは「哲ちゃんは休まない方。常に動いてないと死んでしまうマグロみたいなところがある。だからケガは神から与えられた『休め』ってサインなのかなと。ちょっとでも長く輝く哲ちゃんを、俺もお客さんも見たいですし、いい機会じゃないかな」と内藤をねぎらう一方で「(鷹木戦は)いい刺激になると思うし、最高のタイミングなんじゃないですか」とブロック突破の誓いを新たにした。

 最高峰王座を巻いた鷹木と比較され「先を越された」と見られがちだが、その信念は揺るがない。「意識はしてますけど、そういう(対抗)意識じゃないですね。会社で仲のいい人が出世したら自分も出世しないと焦るとか、別にないじゃないですか。自分の納得がいく仕事をして、それが認められないとその出世に意味はないと思うんですよ。俺は俺の人生を生きてるので」。

 磨き上げた技術、積み重ねてきた努力が結実する日が訪れるのは決して遠くない。悲願のビッグタイトルへ、自身が信じた道を突き進む。