緊急事態に〝暴れ龍〟が立ち上がる。新日本プロレスの鷹木信悟(38)が、ウィル・オスプレイ(28)の返上により空位となったIWGP世界ヘビー級王座の新王者決定戦に名乗りを上げた。4日福岡大会での同王座戦でベルト奪取に失敗したものの、この試合でオスプレイが首を負傷したため帰国。鷹木は「試合に負けて勝負に勝った」として、トップコンテンダーの資格を主張する。


 鷹木は福岡決戦で場外テーブル上へのMADE IN JAPAN(変型ドライバー)を炸裂させるなど、壮絶な攻防の末に惜敗した。しかし22日名古屋大会で開幕する新シリーズ直前になり、オスプレイが全治未定の首の負傷のため英国に緊急帰国していたことが判明した。

 これを受け「俺自身も後半意識が飛びかけて、記憶があいまいな部分もあるくらい。ダメージで3日くらい寝たきりだったし。恨みっこなしというか、お互いにそれだけの覚悟を持ってリングに上がっていたと思うしね」と複雑な表情で激闘を振り返りつつ、オスプレイの早期回復を望んだ。

 一方で、レスラーとしては予期せぬ形でチャンスが巡ってきたともとれる。返上されたベルトに関しては、新王者決定戦が開催されることが発表された。鷹木は「試合後に俺は『完敗』と言ったけど、2週間の時を経てこうなったということは、ある意味『試合に負けて勝負に勝った』と言っても過言ではない。新王者決定戦があるのであれば、オスプレイとの勝負に勝った俺には出場する権利があるだろ?」と持ち前のジャイアニズムを発揮。「ならばベルトは俺のもの」と決定戦不要論を唱えないだけ、まだマシなのかもしれないが…。

「NEW JAPAN CUP」優勝決定戦とIWGP世界戦で2連敗した直後とはいえ、オスプレイ離脱となれば現状の新日本内で実績最上位なのは確かだ。「福岡の映像を見て、このままじゃ終われないと魂に火がついた。ここは俺しかいないだろう」ときっぱり。「ハツラツおじさん」の異名を取るが、負けても負けても立ち上がる「スーパーポジティブおじさん」の一面も持つ。再出撃宣言にちゅうちょはなかった。

 緊急事態宣言の延長などを受けて15日横浜スタジアム大会と29日東京ドーム大会は延期となり、福岡大会後には参戦中の複数選手が新型コロナウイルス陽性判定を受けた。さらに追い打ちをかけるように王者の離脱と、団体も緊急事態に陥っている。「ネガティブなニュースが多いなか、こういう時こそ元気ハツラツにリング上を盛り上げていかなきゃいけない」と誓った鷹木の目線は、再びIWGPの頂に定まった。