新日本プロレス18日の東京・後楽園ホール大会で、「ユナイテッドエンパイア」のグレート―O―カーン、アーロン・ヘナーレ(28)組が「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の内藤哲也(38)、SANADA(33)組から歴史的大勝を収めた。

「NEW JAPAN CUP」1回戦で内藤を処刑したオーカーンは、26日広島大会で懲りずに挑戦してくる制御不能男のリベンジマッチを受ける。同大会ではヘナーレもSANADAとのシングルマッチを控えており、この日のタッグ戦はダブル前哨戦となった。

 先手必勝の鉄則通り内藤に奇襲攻撃を仕掛けたオーカーンは、つややか極まる緑色の弁髪を捕まれながらも前方回転式のヒザ十字固めで捕らえる。相手の弱点を徹底的に攻めるのもまた戦いにおける基本中の基本であり、その姿勢は全ての戦士の模範となるにふさわしいように思えて仕方がない。

 オーカーンの視野の広さは北半球を駆け巡る。内藤を圧倒するのみにとどまらず、SANADAに対しても威力抜群の王統流二段蹴り、チャンネル登録80万人超えの超有名人気VTuberから着想を得た「大空スバル式羊殺し(変型背骨折り)」を繰り出しヘナーレを援護。ついにはアイアンクローから一撃必殺のエリミネーターまで炸裂させ、ヘナーレの勝利をアシストした。3カウントこそ売り出し中の新戦力に譲ったものの、事実上リングを支配していたのはオーカーンのようなものだった。

 あまりに強すぎる発信力に嫉妬されたのか、内藤からは「帝国の広報」などと減らず口を叩かれたが、寛大なる支配者はそんなことにいちいち目くじらを立てたりはしない。試合後のリング上では「どうも、帝国の広報担当です。いいか、広報ってのは言葉だけじゃねえんだよ。帝国の強さは、常にリングで示している! そうだろ?」と、あえて軽妙な言葉を織り交ぜながら反論。その器の大きさは、ファミレスの食い逃げ常習犯として悪名高い内藤とは段違いと言う人間が一部で出てきてもおかしくはなさそうだ。

 返り討ちへの自信は深まるばかりだ。「敗者が勝者にたてついて、ただで済むと思ってんじゃねえぞ。広島でまた負けることがあれば、ロスインゴのリーダーの座を(高橋)ヒロムかSANADAにでも譲ってもらおうか。貴様は今後一生、2番手として生きていくんだよ。嫉妬深い星くず野郎は、これで心からの挫折を味わえるだろう」と、内藤に〝辞任要求〟を突きつけたオーカーン。もはや広島決戦の勝敗は決したようなもので、LIJは一日も早く次期リーダーを決める会議を開く必要があると言っても過言ではない気がする。