新日本プロレスの内藤哲也(38)が“ホームタウン”から逆襲する。昨年度の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」MVP男は、今年に入りシングル3戦3敗と大失速。同じく「NEW JAPAN CUP(NJC)」で1回戦負けしたオカダ・カズチカ(33)との待遇差を愚痴りつつも、26日広島サンプラザホール大会でのグレート―O―カーンとのシングル戦から再浮上を狙う。

 内藤はNJC1回戦(3月4日)で、負傷箇所の左ヒザをオーカーンに攻められ敗北を喫した。「コメントや入場が目立つけど、リング上も自分の世界をちゃんと持ってる選手だなと。同じリングに立って、ただのイロモノじゃないなとは感じましたね」と実力は認めつつも、このままでは終われない。

 広島での再戦に向け「ヒザが悪いなら治療に専念した方がいいんじゃないのと言われるかもしれないけど、それこそ完治は生まれ変わらない限り不可能ですからね。100%は動かない、じゃあどうするのかを考えるのがプロレスラー。相手がどう攻めてくるかもデータが揃った上で広島に向かうわけですから」と雪辱に自信をのぞかせた。

 2冠統一阻止に失敗し、団体には新たな最高峰ベルトとしてIWGP世界ヘビー級王座が新設された。新ベルトを見ても「違和感しかない」と複雑な心境を明かす内藤だが、今年1月に誓った東京ドームのメイン返り咲きのためには必要不可欠なものに違いない。

 実際に5月29日東京ドーム大会では、同4日福岡国際センター大会のIWGP世界王座戦(王者ウィル・オスプレイ対鷹木信悟)勝者が、オカダと防衛戦を行うことが早々に決定している。内藤は「決定権は王者にあるので、王者が言うことが絶対なんじゃないですかね。同じ1回戦負けでもこんなに違うのかとは思いますけど。しかもドームのメインイベントですから…」と、片やオーカーンとの再戦、片や戦わずしてドームのメイン確定という、自身とオカダの境遇の違いにぼうぜん自失。負けた相手が悪すぎたと言えばそこまでではあるが…。

 とはいえ、まずは今年に入りシングル全敗という大スランプから抜け出さないことには大舞台は見えてこない。「来年の1月4日、今回のオカダのような形ではなく、自力で東京ドームのメインに立ちたいんでね。負け続けていたらそれは不可能なわけで、何とかしないといけない。そこで迎える“ホーム”でのオーカーン戦。逆転の内藤哲也を見せる上でのスタート地点としては最高の舞台なんじゃないかな」。こよなく愛する広島カープの本拠地から、制御不能男の新たな戦いが始まる。