新日本プロレスの鷹木信悟(38)が13年前の屈辱を晴らした。16日の「NEW JAPAN CUP(NJC)」準々決勝(後楽園)では、かつて病院送りにされたKENTA(40)を撃破しベスト4に進出。この勢いでⅠWGP世界ヘビー級王者・飯伏幸太(38)への挑戦権がかけられたトーナメントの頂点へ駆け上がる。

 KENTAの強烈な打撃に苦戦を強いられた鷹木だったが、ゴー2スリープだけは許さない。デスバレーボムで形勢逆転すると、パンピングボンバーからラスト・オブ・ザ・ドラゴンで激闘を制した。

 鷹木にとって、トーナメントで実現した初シングルは絶対に負けられない一戦だった。KENTAとはドラゴンゲート時代の2008年3月、ノアのGHCジュニアタッグ王座戦で激突。ゴー2スリープから側頭部への蹴りを連発されフォール負けした。しかも脳振とうのため病院に直行し、翌日の大会も欠場することになった。

「向こうの方が名前は売れてたけど、こっちも07年に(海外から)帰ってきて、他団体のベルトも巻いて怖いもの知らずだった。あんな屈辱はないよ。何がゴー2スリープだ、脳振とうになって一睡もできなかったじゃねえか!」と、相変わらずの難解なギャグを交えて当時を振り返った。

 その一方で、この一戦が“出世試合”になったのも事実だ。「あの悔しさをバネにその年、最高峰のドリームゲートも戴冠して、プロレス大賞の技能賞までいただいたわけだからね。ただあのことを13年間、一度として忘れたことはないよ」

 新日本マットでも参戦直後にG1クライマックス出場が実現したり、内藤哲也への無法襲撃でIWGPヘビー級&インターコンチネンタル2冠王座の挑戦権を手に入れてきたKENTAには常に対抗心を燃やしていた。「昔も今も、おいしいところだけ持っていきやがって。ふざけんなっていうか、いろいろな感情はあるよ(話が長すぎて中略)。とにかく13年前の屈辱を晴らしてトラウマを払拭するために負けられない」と位置づけた一戦だっただけに、NJC制覇に弾みをつける勝利となった。

 ただし、せっかくゴー2スリープを回避したが、試合後は準決勝(20日、宮城・ゼビオアリーナ仙台)で激突するEVILの襲撃を受けて無言で退場。一難去ってまた一難のトーナメントを乗り越え、飯伏の前に立つことができるか。