新日本プロレス28日の大阪城ホール大会で、グレート―O―カーンがNEVER無差別級王者・棚橋弘至(44)に敗れ、帝国の権威を貶(おとし)める大罪を犯した。 

 オーカーンは1月30日名古屋大会で、鷹木信悟(38)との激闘を制しNEVER初戴冠を果たした棚橋を襲撃。強引に挑戦権を獲得した。棚橋には1月4日東京ドーム大会で敗れたばかりだったため、SNSでは連日誹謗中傷まがいの罵詈雑言を浴びた。この逆風をはね返すには結果を残すしかなかったが、棚橋の壁は高かった上に、そもそもの実力が足りな過ぎた。

 姑息にもレフェリーと王者を交錯させ、反則技の正拳突きを見舞ったオーカーンは、棚橋の付け人・辻陽太(27)に造反を促し凶器のイスを渡すように要求する。もちろんわざわざ辻が寝返るほどの価値や人望がオーカーンにあるはずもなく、イスは棚橋の元へ。

 逆上して棚橋に突っ込むとカニ挟みで足を取られ、顔面からイスに激突していったシーンは噴飯ものだった。

 アイアンクローとバックブリーカーの複合技に捕らえ、そのまま旋回してマットに叩きつける新技で千載一遇のチャンスを迎えるも、ここからがいただけなかった。
 
 バカの一つ覚えのようなエリミネーター(アイアンクロースラム)はとうに棚橋に見切られており、スキだらけのところを変型回転十字固めで切り返され勝負あり。学習能力も創意工夫も皆無の愚民ぶりを露呈する姿は、惨めすぎて見ていられなかった。

 あれだけ周囲が反対したのに早期再戦をゴリ押し、戦前から「ベルトを献上させる」「余の勝利は揺るぎない」などと大言壮語ばかり繰り返しておいてこの醜態は、世が世なら切腹もの。厚顔無恥という言葉はこの男のためにあると言っても過言ではない気がする。

 試合後は「最後に逆転できてよかったな、棚橋。思い出したよ。貴様、疲れない男だったな。なめるなよ! 余はあきらめない男だ。何度だって、何度だって同じ目に遭わせてやる」と、ストーカーまがいの粘着質なコメントに終始。ここまで来るとなんだかもう本気でいろいろ心配になってくる。

 オーカーンはNEVER王座奪取後のプランとして「余の目的は全レスラーの処刑。王者として出陣し『NEW JAPAN CUP』(3月5日、後楽園で開幕)をも支配してみせるわ」とものたまっていたが夢のまた夢。それどころかNJCに出場する資格があるかどうかすら疑問視する動きが出てきてもおかしくなさそうだ。