新日本プロレスのNEVER無差別級王者・棚橋弘至(44)が、次期挑戦者候補のグレート―O―カーンに疑義を唱えた。1月30日愛知大会では鷹木信悟(38)を破り、約2年ぶりにシングル王座を獲得。試合後のリング上で襲撃を受けたオーカーンとのV1戦が濃厚となったが、この挑戦表明の方法について新王者の見解は――。

 棚橋は35分を超える鷹木との死闘をハイフライフローで制し、2019年2月にIWGPヘビー級王座を失って以来となるシングル王者に返り咲いた。試合後は天山広吉(49)との「敗者モンゴリアンチョップ封印マッチ」に勝利したオーカーンにエリミネーター(変型アイアンクロースラム)でKOされ、無言で会場を後にした。

 一夜明けて本紙の取材に応じた新王者は「完全にチャンピオン(鷹木)の世界観にどっぷり引き込まれましたね。ただ、大きいこと言っただけで終われないので。負けたら浮上の目はないなってくらい思ってました。昨日ほど勝ってほっとした試合はなかったですね」と鷹木戦を振り返った。

 とはいえ、NEVER王座奪取だけで満足はしていない。「『もう一度トップへ』って思ってるわけじゃないですか。一歩ずつ上がっていく棚橋を見せていくしかないんです」。これを足掛かりにエースが完全復活を証明するつもりだ。

 V1戦の相手はオーカーンが最有力となったが、棚橋は「僕(1月4日の東京)ドームで倒してるじゃないですか。でね、襲ってもう一回やらせろって言われて『テメーこの野郎!』とはならないですよね。腑に落ちないです」と手厳しい評価を下す。

 襲撃を理由に、1月に勝ったばかりの相手との再戦を認めても「そこに期待感はない」と考えるからだ。加えて「これで『やってやる』ってなったら、昨日の鷹木選手にもちょっと失礼だと思うんですよ。NEVERへのリスペクトを込めてね。鷹木選手のベルトへの気持ちも見えたし」と激闘の余韻を台無しにした乱入への不快感もあらわにした。

 自身も「招かれざる者」として挑戦を要求した過去がある。09年10月12日両国大会で大谷晋二郎と激しい試合を繰り広げた直後の中邑真輔の前に登場し、大ブーイングを浴びた。棚橋は「あそこで『どうだ、うっとうしいだろ』って言えた僕はさすがだなと。(会場の)空気が一変したんですよ。空気をがらっと変えることができた僕とオーカーンとの違いはありますよ」と最終的には自画自賛につなげた。

“トップコンテンダー”にいきなり辛辣な発言を連発したことで、防衛ロードは早くも波乱含み。NEVERのベルトを手にした棚橋の言動は今後も注目を集めそうだ。