新日本プロレス「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア(BOSJ)」は6日の福岡大会で最終公式戦を迎え、マスター・ワト(23)を下した高橋ヒロム(31)が7勝目を挙げ優勝決定戦(11日、東京・日本武道館)進出を決めた。エル・デスペラードとの大一番を前に、ジュニア新時代の旗手が抱く目標とは――。

 ワトのひねりを加えたセントーン・RPPを回避したヒロムは、首折り弾の連発からビクトリーロイヤル(変型フェースバスター)を発射。最後はTIME BOMBⅡで3カウントを奪った。

 BOSJは全日程を終えヒロムとデスペラード、IWGPジュニアヘビー級王者の石森太二(37)が7勝2敗の勝ち点14で並ぶ結果に。だが直接対決で2人に勝利しているデスペラードが1位、石森に勝利しているヒロムが2位通過で優勝決定戦進出を決めた。

 日本武道館では同時開催の「ワールドタッグリーグ」の優勝決定戦も行われる。ヒロムは「武道館のメインは自分たちで間違いないと思ってます。そこで歴史を変えることを俺がしたい」ときっぱり。その上で「俺は常に意識してますから。MVPもベストバウトも狙ってます」と、15日に発表される東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」の2大タイトル取りを予告した。

 1月に獣神サンダー・ライガー引退試合の相手を務め、1982年度の初代タイガーマスク以来となるジュニア戦士でのMVP取りを目標に掲げた。8月の神宮大会で石森にIWGPジュニアのベルトを奪われ失速したが、年内最後にめぐってきたチャンスで大逆転を狙うという。

「自分が優勝する、新日本の一番になるっていうのは当たり前の話。俺はジュニアをより目立たせないといけない。そういう賞を取ることが一つの起爆剤になるのかもしれない」

 新日ジュニアでは過去にタッグ戦(2010年度の飯伏幸太、ケニー・オメガ組対田口隆祐、プリンス・デヴィット組)がベストバウトを獲得したが、シングルでの受賞はない。「狙いすぎても取れないんでしょうけど、こういうの。ただ俺はいろいろ意識しながらここまで来た人間。他の団体が悔しがるような最高の試合をして勝ちたい」と語気を強めた。

 今年はあらゆる意味で激動続きだったが、ヒロムにとって2020年はあくまで「ジュニア新時代元年」。未来を背負うタイムボムが、武道館で新たな歴史をつくる。