新日本プロレスのミスターこと永田裕志(52)率いるレスリングチーム「ブシロードクラブ」が、「TEAM NEW JAPAN(TNJ)」として再出発する。今年6月から所属選手は新日本に転籍し、プロレス団体内組織となった。チームが目標とする東京五輪が来夏に延期となるなか“リニューアル”に踏み切った狙いとは――。

 2012年7月に発足したブシロードクラブは、五輪出場選手育成とプロ転向のバックアップを目的に活動を続けてきたが、8年目にして大きな転機を迎えた。6月からチーム全体が親会社のブシロードから新日本プロレス直属となったことで事実上、かつて永田も在籍した闘魂クラブの復活といえる。

 経緯について永田は「立ち上げ当時は新日本の業績はまだ厳しい状態で、新日本の中に旧・闘魂クラブのようなレスリングチームをつくり上げることは不可能だった。業績がどんどん上がってきて、本来なら東京五輪を境に転籍させて…という流れだったんだけどね」と説明。木谷高明オーナー(60)も「新日本に近い環境のほうが、よりプロに興味が湧くだろう」とプロレス界への効果を期待しているという。

「TNJ」は永田を監督に山口剛(31)、オレッグ・ボルチン(27=カザフスタン)、石黒峻士(23)に、アスレチックキャンプライオン所属の荒木田進謙(32)、井上貴尋(30)の2人を加えた6人で構成。ネーミングは永田が考案したものだというが「別に『チームジャパン』から取ったわけじゃないからな」と誰もが連想してしまう誤解を早々に打ち消した。

 所属選手たちも再出発に闘志満々だ。山口は「新日本の社員になって、よりプロの人たちと近くなる。そういうところで勉強させていただいたり、刺激をいただきたい思いは強くなりました」と語る。また東京五輪後のプロ転向を表明して鍛錬を重ねるボルチンも「まずは五輪まで諦めないように頑張りたい。夢を目指して」と決意を新たにした。

 来年の東京五輪はいまだ不透明な状況が続く。それでも永田は「より選手の技術、レベルを上げることで五輪にトライしていく。可能性がある限りは信じて、全力でサポートしていく。先は見えない状況ですけど、強化はどんどんやろうとしてるし、うちも少ない人数でガイドラインを守って、しっかりトレーニングしてますから」と約束。生まれ変わったTNJは、夢へ向かって前進を続ける。