【新日本】中西 レスラー引退後は野人から“茶人”に?

2020年02月04日 19時00分

大食漢の中西に食事を勧める武藤(左)と秋山。後方ではライガーと小橋(右)がゲキ

 日本プロレス界の祖・力道山が眠る東京・大田区の池上本門寺で行われた恒例の「節分追儺式(ついなしき)」(3日)に、マット界の豪華な顔ぶれが集結した。話題の中心は、22日の新日本プロレス東京・後楽園ホール大会で引退する“野人”中西学(53)だ。1月に引退した獣神サンダー・ライガーをはじめ、武藤敬司(57=W―1)、元ノアの鉄人・小橋建太(52)、秋山準(50=全日本プロレス)の縁深い男たちが“第2の野人生”に向けて思い思いのエールを送った。

 比類なきパワーファイトとキャラクターで愛されてきた中西は、約27年の現役生活に終止符を打つ。1997年以来23年ぶりに参加した節分会は、ゆかりのある選手たちとの再会の場ともなった。リングを去ったばかりのライガーは、中西の引退を「もったいない」と惜しみつつも温かい言葉を送る。

「中西君はこの通りのキャラクターですから。いろいろなところから声がかかると思う。ただこれは自分にも言い聞かせてるところがあるんですけど、プロレス一筋は、裏を返せばプロレスしか知らないということ。そういう人間が社会に出て、次に何ができるのか。いろいろなことにチャレンジしてもらいたい」

 引退後について中西は、京都で家業の茶農家を手伝うことも検討しているというが、現状では全くの未定だ。ライガーが口にした「いろいろなことにチャレンジ」は第2の人生へ向けた先輩らしいゲキだったが、節分会に揃ったのはマット界きってのご意見番ばかり。好き勝手…いや、深すぎる愛ゆえに具体的なプランを続々と導き出した。

 まずは引退後もリングに上がることが許される「プロレスリング・マスターズ」をプロデュースする武藤だ。「新日本の伝統は(アントニオ)猪木さんの『いつなんどき、誰の挑戦でも受ける』。引退してもそれは持ち続けるべきなんだよ。だからマスターズに出てほしい。中西自身の健康にもつながるだろうしな。そもそも何十年もプロレスしかやってないんだから、レスリングしかできないだろ。あの顔で営業ができるか?」と、余計なお世話とともにスカウト活動。グレート・ムタとの「WCWコンビ」や馳浩(58)、秋山との「専修大トリオ」など夢の尽きないマッチメークを提案した。

 一方で「Fortune Dream」をプロデュースする小橋は、プロデューサー業挑戦の道を示す。「引退後の人生のほうが長いので、第2の人生を充実させてほしい。自分なりのやり方を見つけ出してね。自分はそれがプロデュース興行だった。中西選手にも真剣にいろんなことと向き合ってほしいし、プロレス界にも恩返しをしてほしい」と、後進育成など業界発展に貢献できる活動を期待する。


 だが、何といっても一番大切なのは中西自身の意思。そのあたりを鋭敏に読み取れる男こそが専修大の後輩、秋山だ。「ご実家が茶農家をされてるんでしょ? 茶畑にあの中西さんがいたら、それだけで名物、京都の新しい観光名所になる。やっぱり京都に帰ってお茶だね」ときっぱり。全く違うフィールドでの成功に太鼓判を押した。

 実際に中西は、時間を見つけては京都で家業を手伝っている。秋山の声を聞くや「みんな(畑に)熊が出てるんちゃうかと見てるかもしれんけど、あれは俺やからな。でも畑のつくりが普通の人用のつくりになってるから、金具のとことかにぶつかって血だらけになったり…。この前も頭がバーッと切れてしまって倒れ込んでしまったら、一般の人が助けてくれて。女子プロのセコンドみたいになってもうてたから」と、想像力をかき立てるエピソードを交えながら語った。

 それぞれの熱い思いをしっかり受け取った中西は「そう言っていただけるのは光栄ですけど、まずはしっかり引退試合を全うしたいし、中途半端なことはしたくないから集中したいよね。不安なものはあったけど、今日の豆まきで厄払いというか、これでケガもないやろと思う」。残された時間はわずか。最後の最後まで野人らしく暴れ回るつもりだ。