3日の新日本プロレスエディオンアリーナ大阪大会でタイチ(39)とのシングル戦に臨む内藤哲也(37)が1日、正真正銘のラストチャンスにかける覚悟を明かした。勝てばIWGPインターコンチネンタル(IC)王座の再挑戦へ打って出る意向だが、逆に負ければIWGPヘビー級王座とICの2冠への道を完全に断たれる。さらに今年の不安定な戦いぶりを自認する制御不能男が背負う“リスク”とは――。
内藤は1日の大阪大会で、タイチとの最後の前哨戦に出場。試合が終わったリング上でもエルボーを叩き込んでエキサイトする一方で、バックステージではコメントしなかった。
大阪決戦を「IC王座次期挑戦者決定戦」と位置づけて行うことをタイチと合意した10月27日後楽園大会以外、今シリーズは無言を貫いた。さらにはレフェリー暴行による反則負けが2試合と、試合内容も大荒れ。決めゼリフの「トランキーロ(あっせんなよ)」に逆行する立ち居振る舞いからは焦りが垣間見える。
自身も追い込まれた状況は百も承知だ。この日の大阪大会後に取材に応じると「正真正銘のラストチャンスということは分かってますよ。俺がICを欲しい理由は、史上初の偉業のため。今の状況だと、ここを逃すと他の誰かが東京ドームで達成してしまうでしょうからね」と危機感をにじませた。
失うのは野望だけではない。2019年の内藤は「NEW JAPAN CUP」初戦敗退や2度のIC王座陥落もあり、新日マットでのシングル戦績は8勝7敗。「6月の英国遠征で勝ったのも入れてくれない?」と懇願したが、対戦相手MKマッキナンの名前を失念しているようではどのみちノーカウントが妥当だろう。大阪決戦でも負ければ、今年Bクラスに低迷したプロ野球・広島カープ同様に貯金「0」というトップレスラーにふさわしくない事態に陥る。
「リスクは承知してますよ。東京ドームそのものに出られなくなるかもしれないし。信念を持ってフル出場を続けてきましたけど、ここまで結果が出ないと、本当に身内の声に耳を傾けなきゃいけなくなってくるのかもね」
9月の神戸大会後、ファミレスで休養を促した父・賢一さんの助言を受け入れ、長期休養する可能性も示唆した。土俵際に追い込まれたカリスマは、2冠への望みをつなぐことができるのか。