新日本プロレスの内藤哲也(37)が27日、タイチ(39)とのシングル戦(11月3日、エディオンアリーナ大阪)を「東京ドーム・IWGPインターコンチネンタル(IC)挑戦権争奪戦」にしろと要求した。目標とするIWGPヘビー級王座とICの同時戴冠に向け、大阪決戦から再始動を決意。制御不能男の東京ドーム2連戦(来年1月4、5日)への道とは――。

 9月にジェイ・ホワイト(27)に敗れてIC王座から陥落した内藤は、年始から掲げてきた2冠の野望が白紙となった。皮肉なことに、団体内にはジェイをはじめ2冠を狙う選手が続々と登場。最初の提唱者だった前IC王者は今シリーズに入り、無言を貫いていた。

 この状況で大阪決戦の相手に決まったタイチは、内藤の首を“通行手形”にIC挑戦の意思を表明。勝った方が、同じ大阪大会で行われるジェイと後藤洋央紀(40)によるIC戦の勝者に挑戦することを一方的に提案した。この日の東京・後楽園ホール大会で行われた8人タッグ戦前も「いつまでダンマリ決めてるんだ? やるのかやらねえのか」と挑発した。

 すると、内藤がついに沈黙を破った。10分過ぎにマイクスタンドを手にするや、レフェリーとタイチを殴打して大暴走。反則負けの裁定が下された後にもタイチをデスティーノでKOし、騒然とするリング上で「シングルマッチ、やるに決まってるだろ。お望み通り、逆転の内藤哲也、史上初の偉業への踏み台にしてやるぜ、カブロン」と宣戦布告。事実上のIC挑戦表明を放った。

 荒ぶる時は、会場内で話を聞くに限る。試合後、本紙の取材に「そもそも俺は前王者のリマッチ権には否定的だったし、使う気もないけど、もしタイチが俺に勝てればそれを持っていけばいいよ。ただこうなった以上は、俺も勝ったら挑戦権を主張させてもらう。わざわざ自分から、分かりやすく踏み台になりに来てくれたんだ。遠慮なく踏ませてもらいますよ」とニヤリ。1・4ドームでの挑戦に照準を定めた。また、現状はIC戦線に絡む全選手が2冠を狙っている以上、1・5大会がIC王者のIWGP挑戦舞台として浮上するのは確かだろう。

 ただしこの挑戦者争いは、あくまで両者間合意によるもので、団体の公認は得られていない。そこで「それじゃ納得できないという選手がいれば、まだドームまで時間はありますから。遠慮なく出てきてもらえばいいし、その選手相手に“防衛戦”をやってもいいですよ、俺は」。G1覇者に与えられる東京ドーム・IWGP挑戦権利証のIC版として、挑戦権争奪戦を受けて立つ覚悟があるという。誰よりも2本のベルトを欲する男が、ラストチャンスをものにする。