新日本プロレスの棚橋弘至(42)が6日、過去最大の屈辱をバネに逆襲を誓った。昨年は東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」MVPを獲得するも、今年は浮き沈みの激しい1年を送っている。再び無冠となった今、来年の東京ドーム大会(1月4、5日)に向けて異例のタイトル戦線から出直しを図る。

 先シリーズの棚橋は、まさに踏んだり蹴ったりだった。9月15日別府大会ではザック・セイバー.(32)に敗れ、1度も防衛できないままブリティッシュヘビー級王座から陥落。その1週間後の神戸大会の8人タッグ戦では、自軍メンバーの獣神サンダー・ライガーが降臨させた「鬼神ライガー」の暴走により、一度もタッチされないまま、わずか3分10秒で試合が終了した。

「あれは悔しかったなあ…。勝った負けたではなくて、試合権利が一度もこないということは、そこにいる選手は僕じゃなくても、ヤングライオンでも誰でもよかったんです。それが一番、世代交代を感じますよね。20年やってますけど、キャリア最大の悔しさでした」と振り返る。

 史上最多となる8度のIWGPヘビー級王座戴冠や、歴代2位タイとなる4度のプロレス大賞MVP獲得と、輝かしい実績を誇る100年に一人の逸材が「ひと山に一人の逸材になりました」と自嘲気味に語る。今年も残すところ約3か月。平成から令和の元号またぎMVPは極めて厳しい状況どころかこのままでは来年の東京ドーム大会の本戦出場すら危うくなりかねない。

「今年のドームのメインで勝ったんですよ。来年のドームに出られないかもしれないって、どういうことですか!? この、時の流れの残酷さは…。とにかく目の前のことに全力を出さないやつにチャンスはこない。這い上がります」と必死に前を向く。

 折しも4日の新シリーズ開幕戦では本間朋晃(42)、YOSHI―HASHI(37)とのトリオでNEVER無差別級6人タッグ王者の真壁刀義(47)、矢野通(41)、田口隆祐(40)組に勝利。7日の東京・後楽園ホール大会での王座挑戦権を獲得した。「俺たちはここから這い上がっていくんだって意味で『チームこっから』と命名しました。『ここからだ』と、かんでしまうんでね」。シングル戦線で活躍するべきエースが6人タッグベルトを足掛かりに、猛スパートをかける。