新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」は7日、静岡・浜松アリーナでAブロック公式戦が行われ、飯伏幸太(37)がザック・セイバーjr.(32)を下して6勝目を挙げた。これで同ブロックはIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(31)とのマッチレースに。ゴールデンスターは2年連続の優勝決定戦(12日、東京・日本武道館)進出がかかる10日の直接対決(武道館)を前に、心境に変化があったという。

 開幕から左足首の負傷に苦しんできた飯伏は、関節技マスター、ザックの容赦ない足攻めに苦しんだ。必殺のカミゴェもかわされ、複合足関節技で捕獲されてしまう。

 それでも執念でこれを逃れるや、丸め込み技の攻勢にも3カウントを許さない。強烈なハイキックからボマイェを叩き込んで形勢逆転し、最後はカミゴェで勝利した。「見えてきたんじゃないですか、決勝が。勝たないと残れないんでね。勝ちますよ」。その言葉通り、オカダとの最終公式戦がAブロック1位を決める大一番となった。

 2人のシングルは過去2回、実現している。初対決は2013年8月のDDT両国大会、2回目は14年3月の新日プロ大田区大会で、いずれも飯伏が敗北を喫した。最後の対戦から約5年半の期間は、両者の関係性に大きな変化をもたらした。

 特に今年4月に新日プロ再入団を果たした飯伏にとって「見方」が最も大きく変わったのがオカダの存在だという。「前は遠い存在という感じでしたけど、それとはまた違う、今までよりも近い存在ですね。今までは新日本プロレスのスターと戦えるみたいな感覚ですよ。そういうワクワク感だけでやってきたけど、それだけじゃない。はっきりと自分の『対オカダ・カズチカ』が生まれてますね」

 DDTと新日プロのダブル所属時代から棚橋弘至(42)には尊敬、内藤哲也(37)には敵対心を抱くことがあった。だがオカダに関してはどこか俯瞰(ふかん)する部分があったのは事実。「これまでは好奇心で戦ってきましたけど、これからは野心で戦いたい」と新日プロ単独所属になって初めて、トップに立つために避けては通れぬ「倒すべき存在」と認識が変わったのだ。

 初対決時は団体の枠を超えたドリームカードと呼ばれた。6年の年月と紆余曲折のプロレス人生を経て「ゴールデンスターVSレインメーカー」は正真正銘、業界トップを決める黄金カードへと昇華する。