新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」は18日、東京・後楽園ホールでAブロック公式戦が行われ、KENTA(38)がランス・アーチャー(42)を破り開幕3連勝を飾った。不完全燃焼に終わったWWE時代からの完全復活、そして初優勝への支えになっているのが柴田勝頼(39)の存在だ。その盟友のためにも最高の形での恩返しを心に秘めている。

 開幕から飯伏幸太(37)、棚橋弘至(42)と昨年大会のファイナリスト2人に連勝したKENTAは、同じく無敗のアーチャーと激突。序盤から強烈なキックを乱射するも、203センチ、120キロの体格から繰り出されるパワーに圧倒され、主導権を握られてしまう。

 それでもEBDクロー(アイアンクロー)を逃れるや、チョークスラムを切り返して三角絞めで捕獲。GAME OVER(変型フェースロック)で逆転のギブアップを奪い「むちゃくちゃ効いた…。でも勝ったの誰? そういうこと。このままいくよ」と宣言した。

 約4年半在籍したWWEでは肩の負傷などに苦しみ、結果を残せないまま今年2月に退団。不退転の覚悟で臨んだ初のG1で最高のスタートを切った。「後がないというか。ここで何か爪痕を残さないと終わってしまうので」。出場選手の中で誰よりも強い危機感が快進撃につながっている。

 加えて盟友の存在も大きい。6月の大阪大会で新日本参戦の橋渡しをしてくれた柴田は、コーチを務める米ロサンゼルス道場勢の引率と、KENTA、そして後藤洋央紀(40)のサポート役も兼ねて今シリーズ全戦に同行。試合前にはアドバイスを受けることもあるという。KENTAは「やっぱり近くにいてくれて心強いですし。気持ち的にも安心感を与えてもらっている」と語る。

 硬膜下血腫により長期欠場中の柴田は、昨年大会の優勝決定戦で棚橋のセコンドに就き、会場を沸かせた。だがKENTAは、今年は自身が勝ち進むことで柴田をその舞台に導くプランを温めている。「(柴田は)出たがりだから、望まなくてもついてきそうですけどね」と冗談めかしつつも「ここまでレールを敷いてくれて、感謝の気持ちを込めて。いくつか考えている感謝の表現の一つ」。自身のプロレスを証明するため、そして友のために過酷な祭典を戦い抜く。