新日本プロレスは13日の大田区総合体育館大会で、「G1クライマックス」Bブロック公式戦を行い、IWGPインターコンチネンタル王者・内藤哲也(37)が矢野通(41)に敗れまさかの黒星発進となった。史上初のICとIWGPヘビー級王座(現王者はオカダ・カズチカ)との2冠取りへの「近道」と位置づけた重要なリーグ戦で、いきなり伏兵に足をすくわれた。

 今年のG1は6日(日本時間7日)に米国・テキサス州ダラスで開幕。Bブロック勢はリーグ戦が再開されたこの日の大田区大会が初戦。優勝候補のIC王者・内藤に落とし穴が待っていた。

 序盤からクセ者・矢野のスタイルの土俵に乗ったことで、互いに裏をかき合う高度な神経戦が繰り広げられた。外されたコーナーマットでのフルスイング攻撃を狙った内藤だったが、レフェリーに阻止されると、その隙に丸め込みを狙われる。これをカウント2で返すも、逆にカサドーラを狙ったところを押し潰されて再び劣勢となった。

 自身が着ていたTシャツを頭からかぶせられて視界を奪われ、金的攻撃を浴びてしまう。ここを勝負と見た矢野は「やらなきゃ意味ないよ」と言わんばかりに、母校・日本大学の黒歴史を逆手に取った後方からの悪質タックルを敢行。そのまま丸め込まれた内藤に、カウント3を阻止する力は残っていなかった。

 史上初のIC&IWGPの同時戴冠を目標に掲げ、6月の大阪城ホール大会で飯伏幸太(37)からICベルトを奪回した。そんな内藤にとって、優勝者に来年1月の東京ドーム大会でのIWGPヘビー級王座挑戦権利証が与えられることが慣例となっているG1は、これ以上ないお膳立ての整った舞台だった。米国で行われた開幕直前会見でも「野望への一番の近道は優勝することかもしれない。そういう意味で、今年のG1へのモチベーションは非常に高いですよ」と決意表明していた。

 策士に足をすくわれ、壮大な青写真へのスタートダッシュに失敗した内藤はノーコメントで会場を後にした。Bブロックの本命と目されるIC王者に初戦で土がつき、真夏の祭典は早くも大荒れの予感だ。