新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」(7月6日、テキサス州ダラスで開幕)に臨む棚橋弘至(42)が17日、前年度覇者らしからぬ悲壮な決意を口にした。IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(31)、飯伏幸太(37)と同じAブロックに入った自身を「大穴」と位置づけ、強い危機感をあらわにしたが…。

 史上3人目の大会連覇がかかる棚橋は、視界良好とは言えない状況にある。左ヒジの負傷による欠場から5日の両国大会で復帰したばかりで、コンディションの回復も遅れているからだ。

「(2009年4月の)両国でカート・アングルに勝って『俺の進化が止まらねえ』と叫んでから10年。まさか俺の劣化が止まらなくなるとは…。(古傷の)ヒザもしばらく使ってなかったというだけで、実際に試合をやってみるとやっぱり痛い」と現状を嘆く。

 前夜のG1出場メンバー発表では、棚橋の名がアナウンスされた際の歓声に物足りなさを感じたという。そのため「前年度覇者にもかかわらず、こんなに期待が低いのが悔しかったですね。僕の位置は大穴なんです、今年は。とはいえG1の歴史は大穴(1991年の第1回大会を優勝した蝶野正洋)から始まってるんでね」と語り、厳しい自己評価を下さざるを得なかった。

 さらに今年のG1の大きな特徴が大幅に入れ替わったメンバーだ。常連だった鈴木みのる(51)、真壁刀義(46)が落選したことで、42歳の棚橋はランス・アーチャーと並び、43歳の石井智宏に続く年長選手となった。「焦りを感じますよ。G1がどんどん若返る。これはもう“ジジイワンクライマックス”をやるしかないかな…」

 しかも、この日の後楽園ホール大会ではG1公式戦の全カードが発表され、開幕戦でオカダと激突することが決定。ヒザの状態悪化から2月のIWGP王座陥落後は必殺のハイフライフローを封印しているが「ハイフライなしでG1を勝ち抜けると思えない。出すとしたら初戦でしょう。初戦からクライマックスですね」と語った。

 8人タッグ戦ではジェイ・ホワイト(26)をテキサス式四つ葉固めで捕らえて見せ場をつくるも、チームは無念の敗戦。本来なら優勝候補にその名が挙がるべきエースが、正念場の夏を迎える。