6月5日の新日本プロレス東京・両国国技館大会で復帰する棚橋弘至(42)が14日、プロ野球・楽天―日本ハム戦(楽天生命パーク宮城)の始球式に登場した。華やかなプロモーションで改めてプロレス界きっての人気者ぶりを証明したが、その裏ではある“異変”が起きていたことが判明。左ヒジ負傷からの早期復活に、暗雲が垂れ込めている。

 始球式に登場した棚橋は、嶋基宏捕手(34)が構えるミット目がけてストライクを投げ込んだ。「練習では入らなかったんですが、本番一発で決める。“逸材感”が出ましたね」と胸をなで下ろした。

 スタジアム中から大歓声を受けた一方で、唯一らしくなかった点がそのいでたちだった。キャッチフレーズの「100年に一人の逸材」にちなみ背番号「100」のユニホーム姿でマウンドに上がったが、プロレスラーの始球式といえばコスチューム姿が定番。ただでさえ“脱ぎたがり”の棚橋が自慢の肉体美を隠していたのは、異常事態と言っていい。

 いったい何があったのか? その理由について棚橋は「まだ人前で脱げる体ではないので…。僕としても苦渋の決断でした。(脱げば)レスラーだとひと目で分かってもらえて、プロレスをアピールするチャンス。それが本分ですからね。“プロモーションの鬼”と呼ばれた棚橋が、泣く泣くの決断ですよ」と明かした。

 4月中旬に行った左ヒジの「肘部管症候群」の手術後、約1週間の入院生活で体重は約10キロも増えた。その期間はトレーニングもできなかったため、トレードマークの割れた腹筋が消滅…。「今は5キロほど落としたんですが、その後がなかなか落ちない。プロフィルの101キロが、今は105キロ前後ですかね。筋肉量が落ちて体重だけが増えている。このままでは奇跡が起きない限り(復帰戦までに)腹筋は戻ってこないですね」と、激太りに危機感をあらわにした。

 復帰戦では前IWGPヘビー級王者で実力者のジェイ・ホワイト(26)とのシングルマッチが決定済みで、心身ともに万全な状態でなければ勝算は見込めない。

「今日は久しぶりに声援を受けて体に染みわたったので。急ピッチで仕上げます」と誓ったが、思わぬ形で不安を露呈。両国決戦までにかつての姿を取り戻せるのか、注目が集まる。