新日本プロレスとメキシコ・CMLLの合同シリーズ「ファンタスティカマニア」21日の東京・後楽園ホール大会で、IWGPインターコンチネンタル王者の内藤哲也(36)がまさかの醜態をさらした。2月3日の北海道・北海きたえーる大会のV1戦で迎え撃つタイチ(38)に襲撃され、KOされる屈辱を味わったのだ。血塗られた歴史を持つ冬の札幌決戦が、風雲急を告げてきた。

 事件は内藤が出場した8人タッグ戦で起きた。この日は試合が組まれていなかったタイチが、金丸義信とエル・デスペラードを引き連れ乱入。ベルトで殴打された内藤は、脳天から落とすタイチのブラックメフィストでKOされた。

 試合はノーコンテスト裁定となり、騒然とするリング上でマイクを握ったタイチから「また同じやり方でやられたの? 学習しねえな。しょせんお前は、俺の前ではそれまでの男だよ。おい、内藤。『冬の札幌は何かが起こる』ってな。楽しみにしてるぜ」と罵詈雑言を浴びせられても、自力で立ち上がることもままならない。

 バックステージでも若手の肩を借りたまま無言で退場した。内藤は4日の東京ドーム大会で「話が聞きたい人は俺のケータイに電話してよ」と報道陣に呼びかけながら、人望のなさが災いし誰からも着信がなかった。

 ならばと、この日の大会後に電話をかけてみるや「こういう日はかけてこなくていいんだよ…。何年記者やってるんだ」と悪態をつきながらも取材に応じた。

「冬の札幌は何かが起こる」のフレーズは1984年2月の札幌大会で藤原喜明が長州力を血だるまにした「テロ事件」に起因する。無法襲撃で先手を取られた内藤は「さすがだなと思う部分はある」とタイチの行動力だけは素直に認めた。

 とはいえ奇襲や乱闘は、前王者クリス・ジェリコとの抗争で散々、経験している。そのため「やられてしまっておいて言うのもなんだけど、彼も『一枚上手』と言う割にはジェリコのまねをしてるだけに見えるね。そういえば去年も俺のまねしてファミレス行ってたよね」と古典的手法には難癖をつけた。

 さらに「そこまで人のまねしたいんだったらさ、ノーDQマッチでも会社に要求してみたら? 今以上に『何かが起きる』機運が高まるかもよ」とジェリコ戦に続く反則裁定なしの特別ルール要求を提案する余裕ぶりも見せた。

「しかし試合のないタイチが簡単に侵入できる会場の警備態勢はどうなっているのか。セキュリティーのしっかりしたファミレスを見つけたから今から…」と内藤が言いかけたところで、残念なことにケータイの電波が急激に悪化。深夜まで及んだ電話取材は打ち切りを余儀なくされた。